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月末の請求書チェックは、届いた順に眺めるから漏れるんですなぁ。見る順番を決めておけば、ここだけ見ればいいですよ、という形にできます。新人くんと一緒に段取りを整理しましょう。
係長と一緒に進めていきましょう。この記事では、小さな建設会社で、下請けや外注先から届く請求書を、発注した内容と出来高に突き合わせて確認する手順を解説します。あわせて、受け取る請求書が適格請求書として必要な記載を満たしているかの見方、ずれが見つかったときの戻し方、月末に確認漏れを減らす段取りをまとめます。
請求書・発注内容・出来高、三つの書類をそろえる
請求書の確認は、請求書だけを見ても終わりません。金額が合っているかは、もとになる発注の内容と、その月に実際に終わった仕事の量が分かってはじめて判断できます。そこで、確認を始める前に、請求書、発注書や注文書などの発注内容が分かる書類、出来高が分かる資料の三つを、工事ごとにそろえます。出来高の資料には、出来高報告書のほか、納品書や作業日報、現場の進み具合を記録した資料などが当たります。
発注の書類が土台になるのは、建設工事の請負契約で取り決める内容が決まっているためです。国土交通省の資料では、建設業法第19条第1項にもとづき、工事内容、請負代金の額、工事着手の時期と工事完成の時期、出来形部分に対する支払の定めをするときはその支払の時期と方法、完成を確認するための検査の時期と方法や引渡しの時期などを、書面に記載することとされています。記載する事項は全部で14項目あります。請求書の金額や対象期間に迷ったときは、この契約や発注の書類に書かれた内容に立ち返るのが基本です。
三つの書類がそろわないまま確認を始めると、途中で探し物が増えて手が止まります。月末にまとめて探すのではなく、請求書が届いた時点で、対応する発注書類と出来高の資料を同じ工事の束にしておくことが、後の突合せを楽にします。工事名の書き方が書類ごとに少しずつ違う会社では、工事番号など共通の目印を決めておくと、束ねる作業で迷いにくくなります。
係長、請求書の金額が発注と違うときはどう見ればいいですか?
まず出来高の資料を見ますなぁ。今月終わった分だけか確かめるんです。
出来高とも合わないときは、支払いを止めてしまうのですか?
独断では止めません。ずれの理由をメモして、上長と確認しますなぁ。
突合せの手順、受け取りから支払い確定まで
突合せは、毎月同じ順番で進めることが大切です。順番が人によって違うと、見た場所と見ていない場所が分からなくなり、確認漏れのもとになります。ここでは、小さな会社でも回しやすい流れを順に並べます。
- 請求書を受け取ったら、工事名と対象の期間で仕分けし、未着の工事がないか一覧と比べます。
- 発注書や注文書と比べ、工事の内容、単価、数量が発注どおりか確かめます。
- 出来高の資料と比べ、請求の対象期間に終わった分だけが請求されているか確かめます。前の月に請求済みの分が重なっていないかも見ます。
- 追加や変更の工事が含まれているときは、変更について合意した書類があるか確かめます。口頭だけのやり取りで終わっている分は、書類の有無を担当者に確認します。
- 金額の計算を確かめます。税率ごとに区分された金額になっているかも、この段階で見ます。
- 気になる点は、その場で請求書の余白や確認メモに残し、現場の担当者や発行した相手に確認します。
- 確認が終わった請求書には確認済みの印を付け、支払いの予定に回します。確認中のものと混ざらない置き場所を分けます。
この流れで特に漏れやすいのは、出来高の重なりと変更工事の扱いです。出来高払いの工事では、月をまたいで同じ分が二度請求されることがあり得ます。前月分の請求書と並べて見る手間を惜しまないことが、重なりの発見につながります。また、現場で急ぎ頼んだ追加の仕事は、発注の書類が後回しになりがちです。請求書に初めて出てくる作業名があったら、それは確認の合図と捉え、合意した書類があるかを先に確かめます。
適格請求書として確認する記載事項
金額の突合せと並んで、請求書そのものの記載が足りているかも確認します。令和5年10月1日から始まった適格請求書等保存方式では、受け取る側が仕入税額控除を受けるための書類として、適格請求書に決められた事項が記載されていることが必要です。国税庁の資料では、適格請求書の記載事項として、次の6つが示されています。
- 発行する事業者の氏名または名称と、登録番号
- 取引を行った年月日
- 取引の内容。軽減税率の対象になるものがあるときは、そのことが分かる記載
- 税率ごとに区分して合計した対価の額と、適用される税率
- 税率ごとに区分した消費税額など
- 書類を受け取る事業者の氏名または名称
建設工事の代金は、税率ごとに区分した金額と消費税額が分かれて書かれているかを見るのが中心になります。請求書の中で税率の区分が曖昧だったり、登録番号の記載がなかったりするときは、金額が合っていても、そのまま支払い処理に回さず、発行した相手に確認します。相手が適格請求書を発行できる事業者かどうかで扱いが変わる場合もあるため、初めて取引する相手の請求書は、最初の月に丁寧に見ておくと、翌月からの確認が安定します。
係長、金額が合っていれば記載は見なくてもいいですか?
そこが落とし穴ですなぁ。登録番号や税率の区分も一緒に見ます。
記載が足りないときは、こちらで書き足してよいのですか?
受け取った側では書き足しません。発行した相手に直してもらいますなぁ。
なお、請求書がデータで届いた会社では、印刷した紙だけを残すのではなく、元のデータも工事ごとに分かる形で一緒に残しておくと、後から探すときに役立ちます。紙の請求書とデータの請求書が混ざる会社ほど、保管の置き場所と名前の付け方をそろえておくことが、月末の探し物を減らします。
ずれが見つかったときの戻し方
ずれが見つかったときは、理由を分けて考えます。計算の違い、数量や出来高の数え方の違い、変更工事の書類の有無、記載事項の不足では、戻し先も直し方も異なります。理由が曖昧なまま差し戻すと、相手もどこを直せばよいか分からず、月末のやり取りが長引きます。確認メモには、どの工事の、どの行が、どの書類とどう違うのかを短く残します。
金額や内容の直しが必要なときは、受け取った側が請求書を書き換えるのではなく、発行した相手に修正や再発行を依頼するのが基本です。自社で書き換えてしまうと、相手の控えと内容が食い違い、後日の確認でかえって混乱します。支払いの時期や方法に影響する判断は、契約や発注の書類に定められた内容に沿って行い、担当者一人の判断で進めず、上長と共有します。差し戻した日と理由、相手からの回答を残しておけば、翌月に同じ工事で迷ったときにも経緯を追えます。
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月末に確認漏れを減らす段取り
確認漏れは、月末の数日に作業が集中することで起きやすくなります。そこで、締め日を待たずに進められる部分を前倒しします。出来高の資料は現場から早めに集め、請求書が届く前に発注内容との大きな食い違いがないかだけでも見ておきます。請求書の到着予定を工事ごとに見える形にしておけば、未着の相手への声かけも締め日の前にできます。
確認する人と、支払いを承認する人を分けることも有効です。小さな会社で完全に分けるのが難しい場合でも、金額の計算を見た人が印を付け、別の目で合計だけでも見直す形にすると、見落としに気づく機会が増えます。確認の観点を一枚の点検表にまとめ、発注との一致、出来高との一致、記載事項の有無、金額の計算という観点に絞っておくと、新しく担当する人も同じ順番で進められます。点検表は細かくしすぎず、迷ったときに係長や上長へ聞く欄を残すくらいが、現場では続きます。
係長、月末はいつも請求書が重なって大変です。
出来高の資料を先に集めるんですなぁ。請求書を待つだけにしないんです。
未着の請求書は、締め日まで待てばよいですか?
予定の一覧で早めに声をかけます。ここだけ見ればいいですよ。
まとめ、順番を決めることが漏れを減らす
小さな建設会社の請求書チェックは、請求書、発注内容、出来高の三つをそろえ、同じ順番で突き合わせることが土台です。契約や発注の書類は建設業法第19条第1項の記載事項にもとづく取り決めが土台になり、受け取る請求書は適格請求書の6つの記載事項を満たしているかもあわせて見ます。ずれが見つかったら理由を分けてメモし、発行した相手に直してもらう流れを守ります。出来高の資料を前倒しで集め、到着予定を見える形にする段取りを加えれば、月末の確認は慌ただしさよりも順番で進められるようになります。
この記事は一般的な確認の流れを解説したものです。消費税や適格請求書の個別の扱いは税理士や税務署の窓口に、建設工事の請負契約の解釈は国土交通省や都道府県の建設業担当窓口などに、最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
参考にした公的資料
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