当サイトは広告を含みます。
ひよこ助手、今日は抹茶の飲み比べを実験しよう。色や香りの違いを比べる前に、等級や表示の根拠をそろえることが大事なのだ。
抹茶の飲み比べ体験を、産直の小さな事業者が自社品で始める前に何を確かめるかを整理します。等級の根拠表示、有機の表示、試飲の衛生と説明のそろえ方を、選び方の視点で順に確認します。
飲み比べで違いを伝える売り方の見方
ワイナリーでワインを飲み比べるように、抹茶を飲み比べて自分の一杯を見つける形が注目されています。鎌倉のMAME-TO-CHAでは、富士の自社農園の有機抹茶について、3つの等級を飲み比べる体験が始まりました。所要は約30分と案内されています。ニュースとして速報を追うよりも、小さな事業者が同じ形を取り入れる前に何を確かめるかを見ることが、この事例の読みどころです。
抹茶は、碾茶を石臼などで挽いたものです。農林水産省の資料では、碾茶は茶樹を遮光して育てた新芽を摘み、蒸して揉まずに乾燥し、茎や葉脈を取り除いて作ると説明されています。渋みが少なく、覆い香と強いうま味が特徴とされています。飲み比べでは、こうした製法の違いが色や香り、うま味の感じ方の違いとして表れます。だからこそ、体験の楽しさだけでなく、違いを何で説明するかを先に決めておくことが大切です。
飲み比べは、高い等級を勧める場ではありません。来場者が自分の好みに合う一杯に気づく場です。事業者側は、等級の上下を価値の上下とだけ言い切らず、香りの強さや苦みの感じ方、後味の残り方など、飲んだ人が言葉にしやすい観点をそろえておくと、説明がぶれにくくなります。
博士、飲み比べは等級が高い順に飲めばよいのですか?
順番も説明の一部なのだ。香りの弱いものから強いものへ並べると違いが分かりやすい。
博士、違いは味だけで伝えればよいのですか?
色や香り、粉の細かさも観点になるのだ。見る、香る、味わうの順で案内すると伝わりやすい。
博士、好みは人によって違うのですか?
そのとおりなのだ。上下ではなく、自分の好みに合う一杯を見つける場として案内するのだ。
並べ方を決めたら、次は等級そのものの根拠です。体験で使う言葉と、売り場や商品に書く言葉が食い違うと、来場者は迷います。等級をどう分けたのかを、事業者の中で一文で言える形にしておくことが出発点になります。
等級の根拠を言葉でそろえる選び方
抹茶の等級は、事業者が独自に分ける場合もあれば、原料の摘採時期や製法、粉の状態などで分ける場合もあります。公的な一律の等級表があるわけではないため、体験で使う等級名には、事業者自身が根拠を示す責任が伴います。何をもって分けたのかを、原料、製法、味わいの観点で短く説明できるようにしておきます。
確かめる観点は大きく3つです。1つ目は原料です。どの畑で、いつ摘んだ茶葉か、遮光の有無や期間に違いがあるかを確かめます。2つ目は製法です。碾茶の乾燥の仕方や、挽き方に違いがあるかを確かめます。3つ目は味わいです。うま味、苦み、香りのどこに違いが出るかを、担当者全員で同じ言葉にそろえます。この3つがそろって初めて、飲み比べの順番や説明に根拠が生まれます。
等級の説明では、根拠のない優劣の言い方を避けます。たとえば、特定の等級だけを取り上げてほかの等級を劣るように伝える言い方は、来場者の選択を狭めます。違いを観点ごとに並べ、来場者が自分の好みで選べる形にすることが、産直らしい伝え方です。価格の違いがある場合も、価格そのものではなく、原料や手間の違いとして説明できるかを確かめます。
この点は、コミッターズのコラム『抹茶ブーム最新(26億円増設と販路の考え方3つ)』でも詳しく触れています(抹茶ブーム最新(26億円増設と販路の考え方3つ))。
有機の表示は認証とマークで確かめる
有機抹茶と伝える場合は、表示の根拠が特に大切です。農林水産省の有機食品の検査認証制度のページでは、有機の基準に適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査し、認証された事業者だけが有機のマークを貼ることができると説明されています。あわせて、そのマークがない農産物や加工食品に、有機やオーガニックなどの名称や紛らわしい表示を付すことは法律で禁止されていると案内されています。
体験の場でも同じ考え方が必要です。畑で化学肥料や農薬に頼らない育て方をしているという説明と、有機と表示できることは、同じ意味ではありません。体験で出す抹茶について、認証を受けている範囲はどこまでか、畑なのか、加工なのか、販売の形態なのかを確かめます。認証の範囲から外れる部分まで有機と伝えてしまうと、表示と実態がずれてしまいます。
食品の表示全体の枠組みも押さえておきます。消費者庁の食品表示制度の資料では、食品表示法は平成25年6月28日に公布され、平成27年4月1日に施行されたこと、食品表示基準では名称や原材料、原産地、保存の方法や期限、栄養成分の量や熱量などを表示事項として定めていることが示されています。体験で手渡す商品や持ち帰り用の商品がある場合は、体験の案内文だけでなく、商品側の表示が基準に沿っているかを合わせて確かめます。
博士、有機と書くには何を確かめればよいのですか?
認証を受けている範囲と、マークを表示できる形かどうかを確かめるのだ。
博士、畑の育て方を説明すれば十分ですか?
育て方の説明と表示の根拠は分けて考えるのだ。表示は認証の範囲で伝える。
博士、体験だけなら表示は関係ないのですか?
関係あるのだ。案内文やメニューも来場者が選ぶ手がかりになるため、そろえておく。
有機の確認ができたら、次は試飲そのものの進め方です。おいしさの説明が整っていても、衛生や案内の手順が人によって違うと、来場者は安心して比べられません。
試飲の衛生と説明をそろえる確認項目
試飲は、少量を何種類も口にする形です。器の使い回しを避けること、お湯や水の扱い、粉を扱う手元の清潔さなど、基本の衛生を手順として決めておきます。厚生労働省の衛生管理のページでは、令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に、衛生管理の考え方に沿った管理に取り組むことになったと案内されています。具体的には、衛生管理計画を作って従業員に周知すること、実施状況を記録して保存すること、定期的に振り返って見直すことが挙げられています。小さな体験の場でも、この考え方に沿って手順を紙にしておくと、担当が代わっても同じ形で進められます。
始める前に確かめる項目を、選び方の形でまとめます。
- 等級の分け方を、原料、製法、味わいの3つの観点で一文ずつ書けているか
- 有機と伝える範囲が、認証を受けている範囲と合っているか
- 体験の案内文、メニュー、商品の表示で、等級名や産地の書き方がそろっているか
- 試飲の器は1人ごとに替え、お湯や粉の扱い方を手順として決めているか
- 担当者ごとに説明が変わらないよう、香りや味わいの言葉を共有しているか
- アレルギーなど、口にする前に確かめる事項の聞き方を決めているか
- 衛生管理の計画と記録の置き場所を決め、振り返る日を決めているか
この一覧は、体験を始める前の点検表として使えます。項目が多いように見えても、等級、表示、衛生、説明の4つのまとまりに分ければ、確認の順番は単純です。等級と表示は出す前の確認、衛生と説明は当日の進め方の確認です。分けて点検すると、直す場所も見つけやすくなります。
PR(当サイト関連サービスへのリンク)
売り場と体験で表示と案内をそろえる
体験で伝えた内容は、売り場でも同じ言葉でたどれることが大切です。体験では香りの違いとして説明したのに、売り場では別の言葉で書かれていると、来場者は自分が気に入った一杯を選び直せません。等級名、産地、製法の書き方を、体験のメニュー、商品の包み、案内文でそろえます。
産地の伝え方も同じです。富士の農園のように産地に特徴がある場合は、産地名だけでなく、畑の標高や気候など、味わいとつながる情報を短く添えると、飲み比べの記憶と結びつきます。ただし、地理的な表示に関わる名称を使う場合は、その名称が登録された表示に当たるかどうかを別に確かめます。産地の物語として伝える文章と、表示として使う名称は、分けて考える必要があります。
説明のそろえ方では、記録が役立ちます。来場者から多く聞かれた質問や、言葉が伝わりにくかった場面をその日のうちに残しておくと、次の回の案内を直せます。衛生の記録と合わせて、体験の振り返りを小さく続けることが、産直の体験を長く続ける土台になります。
まとめ:違いを体験で伝える前の確認
抹茶の飲み比べ体験は、等級や産地の違いを、言葉だけでなく味わいで伝える売り方です。小さな事業者が始める前には、等級の根拠を原料、製法、味わいでそろえること、有機の表示を認証の範囲で伝えること、試飲の衛生と説明の手順を決めておくことの3点が土台になります。消費者庁や農林水産省、厚生労働省の資料で表示と衛生の考え方を確かめながら準備すると、来場者が自分の好みで選べる体験に近づきます。まずは自社品について、この記事の一覧で点検できるところから始めてみてください。
等級の分け方や有機の表示、食品の表示や衛生管理の扱いは、商品の形態や販売の形によって異なる場合があります。最終的な判断は、農林水産省や消費者庁、保健所などの所管の窓口や専門家にご確認ください。
この記事が気に入った方は、ぜひシェアしてください。