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容量市場とは?系統用蓄電池が対価を受け取る仕組みと収益の全体像

ゼウス様ゼウスエナジー編集部(監修:ゼウス様)
系統用蓄電池
ゼウス様

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「容量市場」について知りたいのだな。よかろう、わしが一から授けよう。

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系統用蓄電池の投資物件を、投資家目線で解説する専門メディア『ゼウスエナジー』編集部です。

系統用蓄電池の投資物件を調べていると、収益の柱の一つとして「容量市場」という言葉に何度も出会います。ところが、kW価値・約定価格・リクワイアメントといった電力ならではの用語が続き、仕組みの全体像がつかめないまま検討が止まってしまう方は少なくありません。この記事では、容量市場とは何かという基本から、系統用蓄電池がどのように対価を受け取るのか、そして設備を単独所有して事業主体になる投資家の視点でどう位置づければよいのかまでを、順を追って整理します。読み終えるころには、物件資料に並ぶ収益項目の意味を、自分の言葉で説明できる状態を目指します。

容量市場とは?「将来の供給力」を売買する市場

容量市場とは、一般に「将来の電力の供給力(kW)」をあらかじめ確保するための市場だと説明されます。運営しているのは電力広域的運営推進機関(OCCTO)で、数年先に必要となる供給能力を、今のうちに市場を通じて手当てしておく仕組みです。

ポイントは、支払いの対象が「実際に発電・放電した電力量(kWh)」ではなく、「いざというときに供給できる能力そのもの(kW)」だという点です。普段どれだけ動いたかとは別に、「必要なときに供給できるよう備えている状態」に対して対価が支払われます。この考え方は「kW価値」と呼ばれ、電力量に対して支払われる「kWh価値」とは区別されます。

対価の水準は入札(オークション)で決まります。一般に、実需給年度の4年前に「メインオークション」が開催され、供給力を安く提供できる電源から順に約定していき、需要側の条件と突き合わせて約定価格が形成されるとされています。加えて、実需給年度が近づいた段階で調整を行う「追加オークション」も用意されています。落札した電源はOCCTOと容量確保契約を結び、割り当てられた供給力に応じた金額を受け取る流れになります。

なぜこうした市場が必要なのでしょうか。再生可能エネルギーが増えると、天候によって発電量が上下し、電気が足りない時間帯が生じやすくなります。そこで「発電するかどうか」とは別に「必要なときに供給できる備え」を評価し、対価を払うことで、中長期の安定供給を支える狙いがあるとされています。

系統用蓄電池が容量市場から対価を受け取る仕組み

系統用蓄電池は、電力系統に直接つないで充放電する設備です。太陽光や風力の余剰を蓄え、必要な時間帯に放電できるため、「必要なときに供給できる能力」を提供する電源として容量市場に参加できます。

参加の大まかな流れは、電源としての登録・審査を経てオークションに応札し、落札すれば供給力に応じた対価を受け取る、というものです。ここで理解しておきたいのが「リクワイアメント」と呼ばれる義務です。容量市場では、対価を受け取る代わりに、指定された条件のもとで供給力を提供できる状態を保つことが求められます。この義務を満たせない場合には、一般にペナルティ(対価の減額など)が生じるとされています。容量市場の収入は「設備を持っているだけ」で入るものではなく、「動ける状態を維持する」という前提とセットになっている、と押さえておきましょう。

もう一つ、蓄電池ならではの論点として「供給力の評価」があります。蓄電池は連続して放電できる時間に限りがあるため、その容量がどれだけの供給力として認められるかは、制度上の評価ルールに沿って判断されます。物件を見るときは、設備の大きさ(出力・容量)だけでなく、それが供給力としてどう評価されるのかまで確認する視点が役立ちます。

系統用蓄電池の「3つの価値」を整理する

系統用蓄電池の収益は、容量市場だけで完結するわけではありません。一般に、次の3つの価値を組み合わせて収益機会をとらえると理解しやすくなります。表に整理します。

価値の種類主な市場・場面何に対して対価が発生するか
kW価値容量市場将来の供給力(動ける備え)を確保していること
kWh価値卸電力市場安い時間帯に充電し、高い時間帯に放電する差額
ΔkW価値需給調整市場需給の変動に応じて出力を調整する調整力

容量市場(kW価値)は、この3つの中では相対的に見通しを立てやすい収入とされることがあります。一方で、実際の収益はこれらを組み合わせた結果であり、市場価格や運用の巧拙、制度改定などによって変動します。ここで示したのはあくまで考え方の整理であり、具体的な数値は前提条件により変動する点に注意してください。

ここまでで「対価が何に対して支払われるのか」の輪郭が見えてきたはずです。実際の物件では、この3つの価値の想定内訳が資料によって大きく異なります。個別の前提条件を置いた試算の見方は、記事末尾のご案内から確認いただけます。

ゼウス様

ゼウス様のひとこと

ここまでは前置きじゃ。腰を据えて聞くがよい。

新設の系統用蓄電池と長期脱炭素電源オークション

新しく系統用蓄電池を建設する場合に関わってくるのが、「長期脱炭素電源オークション」です。これは容量市場の枠組みの中で、脱炭素電源への新規投資を対象に、原則20年という長い期間にわたって供給力を確保する仕組みだとされています。新設の系統用蓄電池もこの対象に含まれるとされ、長期の収入見通しを立てやすくする狙いがあります。

投資家目線で押さえておきたいのが、他市場で得た収益の扱いです。一般に、この仕組みでは他市場(卸電力市場など)から得た収益を費用に充て、一定の範囲を超えた分は還付する(戻す)設計になっているとされています。長期の安定した収入を確保する代わりに、他市場での上振れ分の一部は手元に残りにくい構造になっている、と理解しておくとよいでしょう。長期の見通しやすさと、上振れの余地のどちらを重視するかは、物件の設計思想によって異なります。

なお、こうした制度の詳細な要件や対象範囲は見直しが行われることがあります。最新の募集要綱や公表資料で前提を確認する姿勢が欠かせません。

投資家目線で押さえる容量市場の注意点

ここからは、これから系統用蓄電池を買う立場で容量市場をどう見るかを整理します。前提として扱うのは「売り切り」の考え方です。投資家が設備を単独で所有し、自らが事業主体となって収益を直接受け取る形を指します。日々の充放電の運用は、アグリゲーター(電力の取りまとめ事業者)へ任意で委託することが一般的ですが、あくまで運用の委託であり、収益は所有者である投資家に帰属します。複数の人が資金を出し合う形とは性質が異なる点を、最初に押さえておいてください。

そのうえで、確認しておきたい観点をチェックリストにまとめます。

これらはいずれも「約束された数字」ではなく「変動しうる前提」を確認するための観点です。利回りや金額に触れる資料を見るときは、それが想定であり前提条件により変動する試算だという前提で読み解くことが、堅実な検討につながります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 容量市場の対価は、電気を売った量に応じて支払われますか。
いいえ。一般に、容量市場は「発電・放電した量(kWh)」ではなく「供給できる能力(kW)」に対して対価が支払われる仕組みとされています。実際に動いた量に応じて得られるのは、卸電力市場などの別の収益です。
Q2. 系統用蓄電池は容量市場に参加できますか。
一般に、電源として登録・審査などの手続きを経れば参加できるとされています。ただし、蓄電池は放電できる時間に限りがあるため、その容量が供給力としてどう評価されるかは制度上のルールに沿って判断されます。
Q3. 容量市場に入っていれば収入は安定しますか。
容量市場のkW価値は相対的に見通しを立てやすい収入とされることがありますが、リクワイアメント(供給力を維持する義務)の未達によるペナルティや、オークション価格の変動、制度改定などの影響を受けます。安定の度合いは前提条件により変動します。
Q4. 長期脱炭素電源オークションとの違いは何ですか。
長期脱炭素電源オークションは、容量市場の枠組みの中で新規投資を対象に、原則20年という長期で供給力を確保する仕組みとされています。通常のメインオークションより長い期間を対象とする一方、他市場収益の還付など固有の設計がある点が特徴です。
Q5. 運用は自分で行う必要がありますか。
一般的には、日々の充放電の最適化はアグリゲーターへ任意で委託します。委託はあくまで運用の代行であり、設備は投資家が単独で所有し、収益は事業主体である投資家に帰属します。

まとめ

容量市場は、「将来の供給力(kW)」をあらかじめ確保するための市場であり、系統用蓄電池は「必要なときに供給できる能力」を提供する電源として対価を受け取れます。対価は電力量ではなく供給できる能力に対して支払われ、実需給年度の4年前のメインオークションなどを通じて水準が決まるとされます。系統用蓄電池の収益は、このkW価値に卸電力市場のkWh価値、需給調整市場のΔkW価値が組み合わさり、新設であれば長期脱炭素電源オークションという長期の枠組みも関わってきます。投資家として大切なのは、これらを「約束された数字」ではなく「前提条件により変動する想定」として読み解き、設備を単独所有して事業主体になる立場から、収益の前提と義務、制度変更の可能性まで確認する姿勢です。

まずは軽い一歩から。系統用蓄電池と電力市場の動きは、制度改定のたびに前提が変わります。情報を取りこぼさないために、ゼウスエナジーの発信をフォローして、最新の解説を受け取ってください。

アトラス

ゲスト:アトラス(天空を支える巨人)

支える仕事は目立たん。だが大事だ。容量市場も、将来に備えて供給力を支えることへの対価という考え方。派手さはないが、仕組みは知っておけ。

アトラスのプロフィールと出演コラム →

ゼウス様

ゼウス様のひとこと

ここまで知れば、もう素人ではないぞ。あとは、そなたが動くかどうかだけじゃ。

※本記事内の収益・利回りに関する記述はすべて想定であり、市場価格・稼働・運用・制度改正等により変動します。元本や利回りを保証するものではありません。
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著者:ゼウスエナジー編集部/系統用蓄電池の投資物件を、買う側(投資家)の視点で解説する専門メディアです。

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