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先輩だよ!10月30日は食品ロス削減の日。余った食品を売りきる仕組みのニュースが出たから、始める前に何を見ればいいか、一緒に整理しよう。まず1個ずつ確かめれば大丈夫だよ!
余りそうな商品を登録し、利用者が割安で予約して買う仕組みが、ニュースで取り上げられました。小さな飲食店や食品店にとっては気になる話ですが、「始めれば解決」とは言えません。食品を売る以上、衛生、期限、表示、値引きの見せ方のルールは、いつもの商品と同じように守る必要があるからです。この記事では、報道の内容を短く確認したうえで、始める前に確かめたい4つの点と、決める順番を、消費者庁・厚生労働省・農林水産省などの資料にもとづいて整理します。特定のサービスをすすめる記事ではありません。
ニュースの内容と、小さな店が考えたいこと
日テレNEWS NNNは2026年10月24日に、食品ロス削減アプリ「Too Good To Go」を導入したパン店で廃棄が8割減った、と報じました。報じられた仕組みは、店が余りそうな商品を登録し、利用者が半額以下で予約して購入する、というものです。あわせて、食品関連事業者の廃棄は年約237万トンにのぼるとも伝えられています。
8割減という結果は、報じられたパン店の例です。扱う商品、店の規模、余る量によって、向き不向きは変わります。
先輩、ニュースの仕組みって、結局どういうものなんですか?
店が「今日は余りそう」と思った商品を前もって登録して、お客さんが安く予約して買うんだよ。
それなら、すぐ始めたほうがいいですか?
待った!売るのは食品だから、衛生・期限・表示・値引きの見せ方を先に確かめよう。順番に見ていくよ。
国の方針では、売りきりの工夫が位置づけられている
食品ロスの削減の推進に関する法律にもとづく国の基本方針(2020年3月31日閣議決定、2025年3月25日変更)には、事業者に期待される取組が書かれています。食品卸売・小売業者については、天候や曜日を考えた需要予測にもとづく仕入れ、販売の工夫が挙げられています。
売りきりの工夫としては、賞味期限や消費期限に近い食品から買うよう促し、値引きやポイント付与で売りきる取組が示されています。さらに、フードシェアリングサービスとして、そのままでは廃棄されてしまう食品と購入希望者とのマッチングサービスを活用した売りきりも例に挙がっています。
つまり、余りそうな食品を値引きして売りきることは、国の方針でも取り組みの一つとして書かれています。ただし、これは取り組みの例であり、特定のサービスを選ぶ理由にも、衛生や表示のルールが緩くなる理由にもなりません。
確認点1と2|営業の届出・許可と、期限表示
確認点1:自店の許可・届出で扱える販売か
食品衛生法では、2021年6月1日から営業届出制度が始まり、営業許可の業種も見直されました。厚生労働省の資料では、温度管理が必要な包装食品の販売業は届出が必要な業種に含まれ、常温で保存できる包装食品だけを売る場合は届出の対象外とされています。
ここで考えたいのは、余りそうな商品をどう売るかです。たとえば、飲食店が店内で出す料理を持ち帰り用に容器へ入れて売る場合と、パン店がパンを袋に入れて売る場合では、扱う食品も売り方も違います。いま持っている許可や届出の範囲で扱えるのか、新しく届出が要るのかは、営業の形によって変わります。判断に迷ったら、店の所在地を管轄する保健所に、売る商品と売り方を具体的に伝えて確認するのが確実です。
確認点2:期限表示の意味と、売ってよい状態
消費者庁の「食品期限表示の設定のためのガイドライン」(2025年3月)は、2つの期限を次のように整理しています。
- 消費期限:定められた方法で保存した場合に、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くおそれがないと認められる期限を示す年月日。
- 賞味期限:定められた方法で保存した場合に、期待されるすべての品質の保持が十分に可能と認められる期限を示す年月日。
同じガイドラインは、期限を過ぎた消費期限の食品を販売することは「厳に慎むべき」とし、賞味期限の食品も期限内に販売することが望ましい、としています。余りそうな商品を「当日中に売りきる」ことと、「期限を過ぎたものを売る」ことは別の話です。
注意したいのは、期限の付け直しです。科学的・合理的な根拠をもって設定した期限より短い期限を表示して陳列したあとで、ラベルを貼り替えて期限を延ばすことは、慎むべきとされています。返品された商品に、出荷時の期限を延ばして付けることも認められていません。値引きして売りきるときも、期限は元のまま扱います。
先輩、賞味期限が過ぎても、おいしければ売っていいんですか?
ガイドラインは「期限内に販売することが望ましい」と書いているよ。過ぎたものを売る前提にしないでね。
消費期限だったらどうなりますか?
過ぎた消費期限の食品を売ることは「厳に慎むべき」だよ。迷ったら保健所に聞こう。
確認点3と4|表示とアレルギー、値引きの見せ方
確認点3:容器に入れて売るなら表示が要る
食品表示では、容器包装された加工食品が表示の対象になります。消費者庁の食物アレルギー表示ハンドブックでは、容器包装に入れずに売るばら売りや量り売りは対象外とされる一方、食品を詰め合わせた場合は外装パッケージに表示が必要、とされています。中身の小袋への表示は必須ではないものの、できるなら小袋にも表示するほうが望ましい、と書かれています。また、不特定または多数の人に食品を無償で渡す場合も「販売」にあたり、表示が必要です。
複数の商品をまとめて袋や箱に入れて売るときは、中身が日によって変わっても、外装の表示とアレルゲンの情報が実際の中身と合っているかを確かめる必要があります。ハンドブックには、小袋に表示がなく症状が出た事例や、ラベルの貼り間違いの注意があり、表示が適切でない場合は食品の回収などの措置を命じられることもあるとされています。
確認点4:「半額」の見せ方は景品表示法で見る
割安で売るとき、「通常の半額」のように、比べる価格を示す表示(二重価格表示)をすることがあります。消費者庁の整理では、比較対照価格が実際と違う場合やあいまいな場合、同じ商品ではない商品の価格を比べる場合は、不当表示のおそれがあるとされています。同じ商品の「最近相当期間にわたって販売されていた価格」を比較対照にする場合は、おそれはないとされています。
余りそうな商品の値引きでは、日替わりの詰め合わせのように、毎回中身が違うことがあります。このとき「元は何円の商品なのか」を言い切れないなら、元の価格との比較を書かず、販売価格だけを示す方法もあります。どの表示なら問題がないかは、個別の内容で変わるため、不安があれば消費者庁や地域の相談窓口に確認してください。
先輩、「通常1,000円のものが500円」って書くのはダメなんですか?
その1,000円が実際に最近売っていた価格なら、問題になりにくいよ。根拠のない元値は注意だね。
日替わりの詰め合わせは?
元値が言い切れないなら、比べずに販売価格だけ書く手もあるよ。迷ったら窓口に相談しよう。
始める前の確認チェックリストと、売りきれない分の出口
ここまでの4点に、運営面を加えて、始める前の確認項目を並べます。上から順に、「はい」と言えるものが増えるほど、準備は進んでいます。
- 売る商品と売り方(容器の有無、持ち帰りの形)を、保健所に伝えて、許可・届出の範囲を確認した。
- 温度管理が必要な包装食品を売る場合の届出の要否を確認した。
- 消費期限と賞味期限の違いを、店のスタッフ全員が同じように説明できる。
- 期限を過ぎた商品は売らない、期限を貼り替えない、という決まりを店で決めた。
- 袋や箱に詰め合わせる場合の外装表示とアレルゲンの情報を、中身に合わせて用意できる。
- 値引きの表示で、元の価格との比較を書くなら、その価格の根拠を説明できる。
- 仕組みの利用条件(費用の負担、キャンセルの扱い、受け渡しの責任)を、契約前に読んで確認した。
- 余る量の見込みを記録し、需要予測で仕入れを見直す手順がある。
売りきれなかった分の出口も、先に決めておくと慌てません。国の方針は、未利用食品の提供について、食品寄附ガイドラインにもとづいて積極的に行うとしています。寄附できる食品の条件や、期限切れの扱いは、別の整理が必要です。
この点は令和の総合商社のコラム『会社の備蓄食品、期限前にフードバンクへ寄附していい?食品寄附ガイドラインの合意書と、期限切れの扱い』でも詳しく触れています。
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まとめ
小さな店が始める前に確かめることは、仕組みの名前に関係なく共通です。営業の届出・許可、消費期限と賞味期限の扱い、詰め合わせたときの表示とアレルゲン、そして二重価格表示の4点です。国の基本方針は売りきりの工夫を取り組みの例として挙げていますが、ルールを緩めるものではありません。
最初の一歩は、売りたい商品と売り方を決めて、保健所に相談することです。そのうえで、余る量の記録と仕入れの見直しを並べて進めると、売りきる仕組みが廃棄を減らす力になります。
この記事は一般的な情報の整理であり、個別の店の許可・届出や表示の適否を判断するものではありません。営業の許可・届出は所在地を管轄する保健所に、食品表示は消費者庁の資料や自治体の窓口に、価格の表示は消費者庁や地域の消費生活センターに確認してください。最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
参考にした公的資料
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