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日報も勤怠も、現場と事務所で同じ記録を見る形にできれば、集める手間はぐっと減るですなぁ。全部を一度に変えなくて大丈夫です。ここだけ見ればいいですよ、という形から一緒に整えていきましょう。
係長ですなぁ、と言いたくなる場面は、月末に紙の日報と勤怠表を集めて読み返すときです。この記事では、小さな建設会社が現場の日報と勤怠の記録を紙からオンラインの記録に移す手順を整理します。記録する項目のそろえ方、現場と事務所で同じ記録を見る形にする段取り、労働時間の記録として外せない点、現場で無理なく続ける工夫が分かります。道具の名前を先に決めるのではなく、今の紙の流れを確かめるところから始める進め方です。
紙の日報と勤怠で起きやすい困りごと
紙の日報は、現場ごとに書き方がばらつきやすい記録です。作業内容を詳しく書く人と一行で終える人が混ざると、事務所で読み返したときに、その日に何が進んだのかを比べにくくなります。勤怠も同じで、出勤と退勤の時刻が読み取りにくかったり、休憩の記録が抜けていたりすると、確認のために現場へ聞き直す手間が増えます。紙を持ち帰るまでの間は事務所から記録が見えないため、問い合わせへの返事も遅れがちです。
もう一つの困りごとは、二重の記録です。現場では日報に作業と人数を書き、事務所では勤怠表と突き合わせ、さらに請求や工程の資料へ写し替える、という流れが残っている会社は少なくありません。写し替えが増えるほど、数字の食い違いも起きやすくなります。オンライン化の目的は、記録を増やすことではなく、同じ記録を現場と事務所がそのまま見て使えるようにすることです。移行の前に、今の紙で困っている場面を具体的に挙げておくと、変える範囲が決めやすくなります。
係長、紙でも記録は残っているのに、なぜ移すのですか?
残すだけなら紙でも足ります。困るのは集めて、読み直して、写し替えるときですなぁ。
全部の現場を一度に変えた方が早いのではないですか?
書き方まで変えると現場が止まります。まず項目をそろえることが先ですよ。
先にそろえる記録の項目
道具を選ぶ前に、日報と勤怠で記録する項目を決めます。日報の基本は、日付、現場名、天気、作業内容、作業した人数、使用した材料や機械、進み具合、安全面での確認事項、明日の予定です。現場ごとに特別な項目がある場合は、共通の項目に足す形にし、土台は全現場でそろえます。項目がそろうと、事務所では現場ごとの違いではなく、その日の作業そのものを比べられるようになります。
勤怠は、日報とは別の記録として扱います。働いた人ごとに、その日の始業と終業の時刻、休憩、時間外の作業の有無を記録する形にします。日報の人数と勤怠の人数が合っているかを確かめられるよう、人の名前の書き方もそろえておきます。略称や呼び名が混ざると、後から集計するときに同じ人を別々に数えてしまうためです。項目を決めたら、紙の様式にも一度反映し、抜けやすい項目がないかを確かめてからオンラインの記録へ移すと、移行後の戸惑いが減ります。
オンライン化の手順
進め方は、次の順番が基本です。途中の段階で困りごとが出たら、一つ前の段階に戻って直す方が、結果として早く進みます。
- 今の紙の日報と勤怠表を集め、記録している項目と、集計や請求に使っている項目を書き出します。
- 全現場で共通にする項目と、現場ごとに足す項目を分け、名前の書き方とあわせて決めます。
- 記録に使う仕組みを選びます。現場で入力できること、事務所で同じ記録を見られること、記録を後から直したときに経過が分かることを確かめます。
- 一部の現場で短い期間だけ試します。入力にかかる時間、抜けやすい項目、事務所での見え方を確かめます。
- 試して分かった困りごとを直し、項目の説明と入力の締め時刻を短い決まりとして書き残します。
- 対象の現場を広げます。紙と併用する期間を決め、併用が終わる日もあわせて伝えます。
- 移行後は、月ごとに記録の抜けと直しの件数を確かめ、項目や決まりを見直します。
試す段階では、入力する人の負担を確かめることが大切です。現場の作業が終わった後にまとめて書く形が合うのか、作業の合間に分けて書く形が合うのかは、現場の流れによって違います。また、通信が届きにくい場所がある現場では、記録が送れなかったときの扱いも先に決めておきます。送れなかった記録を後からまとめて入れ直すのか、紙に残して事務所で写すのかを決めておかないと、記録の抜けに気づくのが遅れます。
係長、手順の中でいちばん大事なのはどこですか?
試す段階ですなぁ。狭い範囲で困りごとを出し切ると、本番で慌てません。
紙はすぐ捨ててしまってよいですか?
併用の終わる日を決めてからにしましょう。記録のつながりが切れる方が困りますよ。
労働時間の記録として外せない点
勤怠のオンライン化では、労働時間の記録としての決まりも外せません。厚生労働省のガイドラインでは、会社は働く人の労働日ごとに始業と終業の時刻を確認し、記録することとされています。確認と記録の方法は、責任者が自ら見て確かめる方法か、タイムカードやカードの記録、パソコンの使用時間の記録といった客観的な記録をもとにする方法が原則とされています。自己申告で記録する場合は、正しく申告するよう十分に説明し、実際の時間と合っているかを必要に応じて調べ、直すこととされています。
背景には、時間外労働の上限規制があります。労働基準法では、法定労働時間は一日八時間、一週四十時間以内と定められています。時間外労働は、労使の協定があっても原則として月四十五時間、年三百六十時間以内が上限で、臨時的な特別の事情がある場合でも、年七百二十時間以内、時間外労働と休日労働の合計が月百時間未満、二か月から六か月の平均が八十時間以内、月四十五時間を超えるのは年六か月までとされています。この上限規制は、建設業では令和六年三月三十一日まで適用が猶予されていましたが、同年四月から適用されています。違反した場合には、六か月以下の懲役または三十万円以下の罰金が科されるおそれがあると、厚生労働省の建設業向け資料に示されています。日々の始業と終業がその日のうちに記録され、月末を待たずに事務所でも確かめられる形にしておくことが、上限に近づく前に気づく助けになります。
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現場で続けるための運用の工夫
仕組みを入れても、入力が面倒だと記録は続きません。入力の手間を減らす工夫として、項目の選択肢を用意しておく方法があります。天気や作業の種類など、よく使う内容は選ぶ形にし、自由に書く欄は特記事項だけに絞ります。前の日の現場名や人数を引き継げる形なら、毎回すべてを書き直す必要もなくなります。写真で現場の様子を残す運用をする場合は、写真を付ける場面を決めておくと、後から見返すときの助けになります。
なお、建設技能者の資格や就業履歴を業界全体で登録し蓄積する仕組みとして、建設キャリアアップシステムがあります。国土交通省の国土交通白書では、この仕組みで蓄積された資格や就業履歴をもとに、四段階のレベル別に評価する取り組みが進められていると紹介されています。自社の日報や勤怠とは別の仕組みですが、現場の記録をそろえる考え方は共通します。どちらの記録でも、誰が、いつ、どの現場で働いたのかが同じ書き方で残ることが、後から確かめるときの土台になります。運用を続けるコツは、記録の目的を現場にも伝えることです。集計のためだけでなく、工程の遅れに早く気づくため、働きすぎを防ぐため、と目的が伝われば、記録は提出物ではなく現場の道具として扱われやすくなります。
係長、現場から面倒だと言われたらどうしますか?
まず、どの項目で手が止まるのかを聞くことですなぁ。項目を減らせる場合も多いですよ。
記録を続ける意味は、どう伝えればよいですか?
遅れや働きすぎに早く気づくため、と目的を短く伝えることです。ここだけ見ればいいですよ。
まとめ
建設会社の日報と勤怠をオンライン化する手順は、道具選びからではなく、項目をそろえるところから始まります。今の紙の項目を書き出し、共通の項目と現場ごとの項目を分け、一部の現場で試して直してから広げる。この順番なら、小さな会社でも無理なく進められます。勤怠は、労働日ごとの始業と終業を客観的な記録で確かめる形にし、時間外労働の上限に近づく前に事務所でも気づけるようにしておくことが大切です。現場と事務所が同じ記録を見る形ができれば、日報は集める書類から、日々の仕事を支える記録へと変わっていきます。
労働時間の記録方法や時間外労働の上限の当てはめは、会社の働き方の実態によって確認すべき点が変わります。導入の前後で迷う点があれば、社会保険労務士や所管の労働基準監督署など、専門家や所管の窓口にご確認ください。