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電子取引データの保存方法を比較|小さな会社の4つの備え

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係長です。年末が近づくと、メールで届く請求書や領収書がじわじわ増えますなぁ。保存のしかたは、ここだけ見ればいいですよ。

メールに添付された請求書や、ホームページからダウンロードした領収書などの「電子取引データ」は、印刷して綴じるだけでは保存したことになりません。この記事では、国税庁の資料で確認できた範囲で、電子取引データの保存方法を「改ざんを防ぐ4つの方法」と「検索できるようにする方法」に分けて比較します。自社に合う備えを選ぶ材料にしてください。2026年10月時点の情報です。

電子取引データとは?まず対象を確かめる

国税庁の資料によると、注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書などに相当する電子データを受け取った場合や、送った場合には、そのデータを電子のまま保存することが求められます。対象は、申告所得税や法人税について帳簿書類の保存義務がある方です。法人だけでなく、個人事業者も含まれます。

国税庁の一問一答では、次のようなやりとりが電子取引に当たる例として挙げられています。

  • メールで受け取ったPDFの請求書や領収書
  • ホームページからダウンロードした請求書・領収書、およびそのスクリーンショット
  • クラウド型の請求書サービスで受け取った請求書
  • クレジットカードや交通系ICカードの利用明細データ

反対に、取引の情報を含まないメールや、見積書の下書きのように正式な書類ではないものは、保存の対象にならないとされています。また、受け取った側だけでなく、自社が送った請求書や見積書のデータも保存が必要です。自社で作成した書類は、控えとして残るデータが保存の対象になります。

保存の期間は、それぞれの税法で定められた保存期間が終わるまでです。年数は書類の種類などで変わるため、税理士や税務署に確かめてください。

この点は令和の総合商社のコラム『領収書の保存期間は何年?法人は7年、赤字の年は10年。メールで届いた領収書は紙にしても消せません』でも詳しく触れています。

係長、うちはメールで請求書を受け取るだけです。それでも対象ですか?

受け取るだけでも対象ですなぁ。紙でやりとりしたら保存が必要な書類にあたるデータなら、受け取った側も保存します。

送った見積書のデータも保存するんですか?

はい、送った側も同じです。まず、自社にどんなデータがあるかを洗い出すのが先ですよ。

保存の決まりと、改ざんを防ぐ4つの方法の比較

国税庁のチェックシートでは、原則的な保存要件は3つです。改ざん防止の措置をとること、ディスプレイとプリンタを備え付けること、「取引年月日・取引金額・取引先」で検索できることです。備え付けは、スマートフォンだけの取引でも、近くの有料プリンタなどで速やかに出力できれば満たすとされています。悩みどころは改ざん防止と検索で、まず改ざん防止です。改ざん防止の措置は、国税庁の資料で次の4つのうち、いずれか1つを行えばよいとされています。

方法 内容 向く場面の目安 確認したい点
タイムスタンプ付きのデータを受け取る 取引先が時刻の証明つきで送ってくる 取引先がその形で送ってくれる場合 取引先ごとに対応が違う
受け取ったデータにタイムスタンプを付ける 受領後に自社で付与する 件数が多く、手作業を減らしたい場合 付与のしくみを用意する必要がある
履歴が残るシステムで授受・保存する 訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないシステムを使う 請求書のやりとりを一つの仕組みにまとめたい場合 自社の使い方が要件に合うか
事務処理規程を定めて守る 正当な理由のない訂正・削除を防ぐための社内の決まりを作り、運用し、備え付ける システム費用をかけずに始めたい場合 書くだけでなく、実際に守ること

小さな会社で選ばれやすいのは、最後の事務処理規程だと考えられます。国税庁のチェックシートでは、専用システムを使わない方法として事務処理規程が挙げられ、国税庁のホームページに規程のサンプルが掲載されていると説明されています。一問一答でも、規程を備え付ければ改ざん防止の措置の一つとして認められると書かれています。

注意したいのは、メールの添付ファイルのように受け取った側で訂正や削除ができるデータです。このようなデータは、タイムスタンプを付けるか、事務処理規程に基づいて管理することが必要だと一問一答で説明されています。「何もしない」では要件を満たしません。

係長、4つのうち、うちはどれを選べばいいですか?

すでに請求書をシステムで受け取っているなら、その履歴機能が使えるか確かめるのが近道ですなぁ。

システムがなければどうしますか?

事務処理規程が、お金をかけずに始められる方法のひとつです。ただし、決めた内容を守ることが前提ですよ。

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検索できるようにする方法を比較する

検索要件は、「取引年月日・取引金額・取引先」の3項目で検索できる状態にすることです。国税庁の資料では、専用のシステムがなくても対応できる簡易な方法として、次の2つが紹介されています。

方法1:ファイル名にルールを決める

「日付・金額・取引先」を決まった順番でファイル名に入れ、特定のフォルダにまとめて保存します。ファイル名の検索機能で探せるようにする方法です。一問一答では、取引先ごとや月ごとにフォルダを分けて格納する例も示されています。保存先を分けること自体は差し支えありませんが、合理的な理由なく保存先をばらばらにすることは認められないとされています。

方法2:索引簿を作る

受け取ったデータに連番を付け、表計算ソフトなどで「連番・日付・金額・取引先・備考」を一覧にして管理します。一覧の検索機能を使って、探したいデータを見つける方法です。

検索要件が不要になる条件と、書面で整理する方法

検索の備えが不要になる場合があります。国税庁の資料では、基準期間の売上高が5,000万円以下であれば、税務調査などの際に、電子取引データのダウンロードの求めに応じられることを条件に、検索要件を満たす必要はないとされています。基準期間は、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度です。「2年前の売上高」で判定する点を押さえてください。

もう一つ、一問一答には、電子データを出力した書面を取引年月日その他の日付と取引先ごとに整理し、提示・提出できるようにしている場合も検索要件は不要になる、と書かれています。ただし、これは検索の備えが不要になるだけです。データそのものを電子で保存する決まりがなくなるわけではありません。

どちらの場合も共通しているのは、税務職員から求められたときにデータを出せる状態にしておく、という点です。クラウドや海外のサーバに置く場合も、保存場所で速やかに画面や書面に出力できれば認められます。

係長、売上が5,000万円以下なら、何もしなくていいんですか?

いえ、そこが勘違いしやすい点ですなぁ。不要になるのは検索の備えだけです。

改ざん防止は必要ということですか?

そのとおりです。ダウンロードの求めに応じられることも条件ですよ。

紙に出して綴じる、猶予措置、紙でも受け取った場合

紙に出力しただけでは足りない

国税庁の一問一答によると、電子取引データを紙に出力したものは、令和6年1月1日以降、電子データの保存の代わりにはなりません。令和5年12月31日までは、事実上、出力した書面での保存が認められていました。一方で、データを要件どおりに保存したうえで、管理しやすいように出力して他の書類と一緒に綴ることは問題ないとされています。

要件を満たせない場合の猶予措置

原則的な要件を満たせない事情がある場合の猶予措置も用意されています。国税庁の資料では、次の2つを両方満たせば、電子取引データを保存しておくだけでよいとされています。

  • 所轄の税務署長が、要件に従って保存できなかったことに相当の理由があると認めること
  • 税務調査の際に、データのダウンロードの求め、またはプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じられること

事前の届出は不要で、人手不足やシステム整備の資金不足、整備が間に合わないことなども相当の理由として挙げられています。ただし、これは例外的な措置です。最初から頼る前提にせず、自社に合う方法を選んで備えるのが基本ですなぁ。

紙とデータの両方で受け取った場合

同じ内容の書面とデータを両方受け取った場合は、書面を正本とする取り決めがあり、内容が同一であれば、書面の保存のみで足りるとされています。データに補足の情報が含まれているときは、両方の保存が必要です。

まとめ|自社に合う備えを選ぶ手順

最後に、選び方の流れを整理します。

  1. 自社に届くメール添付の請求書・領収書、ダウンロードした書類、利用明細などを洗い出す
  2. 改ざん防止を、4つの方法から1つ選ぶ(システムの履歴機能、または事務処理規程など)
  3. 2年(期)前の売上高が5,000万円以下かを確かめる。以下なら、ダウンロードの求めへの対応を条件に検索要件は不要
  4. 5,000万円を超えるときは、ファイル名のルールか索引簿のどちらかを決めて運用する
  5. 担当者が変わっても続くよう、手順を一枚にまとめて共有する

自社の売上高の判定や、規程の作り方に迷ったときは、税理士や税務署の相談窓口に確認してください。

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電子帳簿保存法の取扱いは、会社の規模や事業の内容、帳簿書類の保存の状況によって変わります。自社が要件を満たしているかどうか、基準期間の売上高の判定、事務処理規程の内容などは、顧問の税理士や所轄の税務署の窓口にご確認ください。最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。

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