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どうも、係長ですなぁ。外注先に仕事を頼むとき、「うちの会社は法律の対象なのかなぁ」と気になることがありますよね。ここだけ見ればいいですよ、というところから順番にいきましょう。
2026年1月1日から、外注などの取引を定めた法律が改正され、「取適法」(中小受託取引適正化法)として施行されています。この記事では、発注側が対象かどうかを確かめる5つの点と、対象になった場合の義務や禁止事項を整理します。2026年10月26日時点で確認した、公正取引委員会と中小企業庁の資料をもとにした一般的な解説で、個別の取引が対象かどうかの判断はしていません。
取適法とは?外注をする会社との関係
公正取引委員会の取適法のページによると、この改正法は令和8年1月1日から施行されています。発注する側を「委託事業者」、受ける側を「中小受託事業者」と呼び、立場の弱くなりやすい受ける側を守るための決まりが置かれています。改正では、従業員数の基準の追加、特定運送委託の追加、手形払いなどの禁止、協議に応じない一方的な代金決定の禁止が示されています。
ここで大事なのは、外注すればどの会社も自動的に対象になるわけではない、という点です。対象になるかどうかは、発注側と受注側の資本金や従業員数、そして頼む内容によって決まります。
係長、うちは小さな会社です。取適法は大きな会社だけの話ではないですか?
そうとも限らないですなぁ。発注側の資本金が一定の額を超えると対象になります。
資本金が小さくても、対象になることはあるんですか?
従業員数の基準もあるので、資料で数字を見てみましょうねぇ。
確認する5つの点をチェック項目で整理
取適法の対象かどうかは、次の5つの点を順に確かめると整理しやすくなります。1つでも当てはまらなければ、その取引は取適法の対象外となる可能性があります。ただし、最終的な判断は専門家や窓口に確認してください。
- 確認1:自社(発注側)の資本金や従業員数は、基準を超えているか
- 確認2:相手(受注側)の資本金や従業員数は、基準以下か(個人も含む)
- 確認3:頼む内容が、対象の取引(製造、修理、情報成果物の作成、役務の提供など)に当たるか
- 確認4:自社で使うものを頼む場合は、自社でも同じものを繰り返し作っているか
- 確認5:対象になるときの義務(明示、支払期日、書類の保存、遅延利息)を守れる体制があるか
確認1と2:資本金と従業員数の基準を表で見る
公正取引委員会の取適法テキストと中小企業庁の資料では、取引の種類ごとに基準が分けて示されています。情報成果物の作成や役務提供の委託は、プログラムの作成や運送・倉庫保管・情報処理などを除き、次の表の下の段にあたります。システム開発などを頼む場合は、どちらの段にあたるかを確認してください。
| 頼む内容 | 発注側(委託事業者)の目安 | 受注側(中小受託事業者)の目安 |
|---|---|---|
| 製造委託、修理委託、特定運送委託、プログラムの作成、運送・倉庫保管・情報処理の役務提供など | 資本金3億円超。資本金1千万円超3億円以下で従業員300人超 | 資本金3億円以下(個人を含む)、または従業員300人以下 |
| 上記以外の情報成果物の作成、役務提供の委託 | 資本金5千万円超。資本金1千万円超5千万円以下で従業員100人超 | 資本金5千万円以下(個人を含む)、または従業員100人以下 |
従業員数の基準は、資本金の基準が当てはまらない場合に使われると、取適法テキストに書かれています。つまり、資本金が1千万円以下の会社が発注側になる場合は、この表の発注側には入りません。公正取引委員会の資料には、相手の従業員数の確認は、書面や電子メールなど、記録に残る方法が望ましいとあります。
確認3:頼む内容は対象の取引か
取適法の対象になるのは、法律で決められた種類の取引です。公正取引委員会の質問と答えには、販売目的のソフトウェアのコーディング作業を他の事業者に委託することは、情報成果物作成委託に当たるとの説明があります。ホームページの制作を頼む場合も、「何を、何のために頼むのか」で扱いが変わるため、次の確認4とあわせて見ます。
一方で、会社が弁護士や公認会計士と結ぶ契約は、自分が使うための役務であるため対象外とされています。
確認4:自社で使うものを頼む場合の見方
自社のホームページや社内で使う会計ソフトのように、事業者が自分で使う情報成果物を外注する場合は、少し見方が変わります。取適法テキストによると、事業者が自ら使用する情報成果物の作成を「業として」行っている場合に、その作成を他の事業者に委託すると対象になりうるとされています。たとえば、自社のホームページや広告宣伝物を、社内の部門で反復継続して作っているケースです。
社内にシステム部門があっても、委託先と同じ種類のものを作っていなければ該当しないとされています。自社で何を作っているのかを、まず社内で整理しておきましょう。
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対象になるときの発注側の4つの義務
取適法テキストの概要には、委託事業者が守る義務として、発注内容などの明示、代金の支払期日を定めること、書類などの作成と保存、遅延利息の支払いの4つが挙げられています。中小企業庁の資料で確認できた内容は、次のとおりです。
- 発注内容の明示:発注書など書面で明示します。電子メールなどの電磁的方法でも可能です。
- 支払期日:物品などを受領した日から起算して60日以内の、できる限り短い期間に定めます。
- 書類などの作成・保存:取引の記録を作成し、2年間保存します。
- 遅延利息:支払期日を過ぎた場合、年率14.6%の遅延利息を支払います。
電磁的方法での提供は、中小受託事業者の承諾の有無にかかわらずできます。ただし、受ける側から書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付しなければなりません。発注内容として具体的に何を書くのかは、公正取引委員会の資料で最新の内容を確認してください。
この「口頭で済ませず記録に残す」という考え方は、姉妹サイトの「在庫を持たない雑貨販売の始め方」でも、次のように説明しています。
仕入先との取り決めは、あとで食い違いが出やすい部分です。口頭で済ませず、書面やメールで残します。
仕入先との取り決めを記録に残すという話は、外注の発注内容や支払期日を記録に残す取適法の考え方とも重なります。
係長、60日以内というのは、請求書が届いてから数えるんですか?
いいえ、中小企業庁の資料では「物品等を受領した日から起算」となっていますなぁ。
請求書の日付や締め日とは違うんですね。
そうです。自社の支払いの締め日と照らして、60日を超えないか確かめましょう。
禁止されていることと、支払いで気をつけたい点
取適法テキストでは、委託事業者の禁止事項として、受領拒否、代金の支払遅延、代金の減額、返品、買いたたきなど11項目が挙げられています。外注の担当者が日ごろの支払いで特に気をつけたいのは、次の点です。
- 手形払いは禁止されています。電子記録債権やファクタリングも、支払期日までに代金の満額に相当する現金を得られないものは認められません。
- 振込手数料を受注側に負担させることは、合意の有無にかかわらず違反になるとされています。代金から手数料を差し引くことは、代金の減額に当たるという考え方が運用基準で示されています。
- 受注側から価格の協議を求められたのに、応じない、必要な説明をしないといった形で、一方的に代金を決めることは禁止されています。
確認のあとの動き方:社内で決めておきたいこと
5つの点を確かめたら、担当者が替わっても分かるように、次の内容をメモに残すとよいでしょう。
- 自社と相手の資本金、従業員数と、確認した方法
- 支払期日の決め方と、書類の保存場所
対象になるかどうか迷う場合は、公正取引委員会の相談窓口や、中小企業庁の窓口に問い合わせる方法があります。自己判断で「対象外」と決めず、必要に応じて弁護士など専門家にも相談してください。
係長、結局、うちの外注は対象なのかどうか、どう決めればいいですか?
この記事の5つの点を順に見て、迷ったら窓口で聞くのがいちばんですなぁ。
対象外だったら、何もしなくていいですか?
発注内容と支払期日を書面に残す運用は、対象外でも役に立ちますよ。
まとめ
取適法の対象かどうかは、発注側と受注側の資本金・従業員数、頼む内容、自社用かどうかの順に確かめます。ホームページ制作のような情報成果物の作成や、役務提供の委託には、上の表の下の段の基準が関わります。システム開発のようにプログラムを作るものは別の段に入るため、内容を整理してから基準を見てください。
対象になる場合、発注側には、発注内容の明示、60日以内の支払期日、2年間の書類の保存、遅延利息の支払いという4つの義務があります。手形払いや振込手数料の差し引きなどの禁止事項もあります。対象外の場合でも、記録を残し、期日どおりに支払う運用は取引の安心につながります。
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この記事は2026年10月26日時点で確認した公的資料にもとづく一般的な解説で、個別の取引が取適法の対象かどうか、義務や禁止事項に当たるかどうかを判断するものではありません。契約や支払いの個別の判断は、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口、弁護士などの専門家にご確認ください。最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
参考にした公的資料
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