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質問と答え

家計の現預金と株式・投信の割合、確かめる点

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村長じゃぞ、ぽん。ニュースで「現預金が減って株式や投信が増えた」と聞くと、自分の家計も動かさなきゃ、と思いがちぽん。まずは数字の読み方から落ち着いて見ていくぽん。

2026年10月26日、BUSINESS INSIDER JAPANが「家計の現預金比率低下、株式・投信が約3割」という見出しで、家計のリスク資産へのシフトが続いていると伝えました。この記事は、そのニュースの続報ではありません。家計の資産の置き場所(現預金と株式・投信の割合)のニュースを、個人がどう受け止め、自分の家計では何を確かめるかを整理する解説です。

日本銀行の資金循環統計(2026年6月末の速報)や、金融庁、金融広報中央委員会の資料で確認できる範囲だけを使い、特定の商品をすすめることや、利益を約束することはしません。質問と答えの形で、5つの疑問を順に見ていきます。

質問1 ニュースの「割合」は、何を分母にした数字?

答え: 多くの場合は「家計が持つ金融資産の合計」を分母にして、現金・預金や株式等、投資信託がそれぞれ何%を占めるかを示した数字です。ただし、どの統計を使うかで「金融資産」の範囲が変わるため、同じ言葉でも数字は一致しません。

家計の金融資産を全国でまとめた代表的な統計が、日本銀行の資金循環統計です。2026年9月17日に公表された2026年第2四半期(6月末)の速報では、家計の金融資産の構成が次のとおりでした。

項目 残高(兆円) 構成比(%) 前年比(%)
金融資産計 2,519 100.0 11.0
現金・預金 1,132 44.9 0.5
債務証券 38 1.5 15.5
投資信託 193 7.7 36.8
株式等 486 19.3 47.0
保険・年金・定型保証 586 23.3 3.2
その他 85 3.4 21.8

出典は日本銀行「2026年第2四半期の資金循環(速報)参考図表」(2026年9月17日)で、数値は公表時点のものです。株式等と投資信託の構成比を足すと27.0%になります。ただし、今回のニュースがこの表を使っているかどうかは、この記事では確かめていません。見出しの「約3割」と、ここで計算した27.0%が同じ根拠かどうかは、報道の元の記事と、使われた統計の名前・時点で確認してください。

もう一つ注意したいのは、資金循環統計の「家計」の範囲です。日本銀行の説明では、家計の金融資産の残高には、企業年金などの年金受給権、ゴルフ場預託金などの預け金、個人事業主の事業性の決済資金も含まれます。個人が日ごろ「自分の貯金や投資」と考えるものより広い数字だということです。

村長、割合って、どの資料でも同じ数字になるんじゃないの?

そうとは限らないぽん。何を「金融資産」に入れるかで分母が変わるぽん。

じゃあニュースを見たら、まず何を見ればいいの?

統計の名前と、いつ時点の数字かの2つを探すぽん。そこが分かれば、比べ方が決まるぽん。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(2025年、二人以上世帯)も、別の物差しです。この調査の金融資産には、預貯金、金銭信託、積立型保険商品、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などが含まれ、預貯金は日常的な出し入れや引落しに備えている部分を除くとされています。つまり、同じ「現預金」でも、日常の支払い用のお金を入れるか入れないかで割合は変わります。

質問2 割合が動くのは、買い増しや売却をしたから?

答え: 売買だけでなく、持っているものの値段が変わっても割合は動きます。残高の変化には、取引による分と、価格の変化による分の両方が含まれます。

日本銀行の資金循環統計の解説では、資産や負債は原則として時価で評価されます。そのため、残高の増減には売買などの金融取引に加えて、価格変化による分が入ります。解説には次の例があります。前の期末に株式を100万円分持っていて、当期に30万円分を買い足し、期末の時価が150万円になったとします。残高の変化は50万円で、そのうち取引による30万円を除いた20万円が、取引を伴わない価格上昇による調整額です。

これを先ほどの表に当てはめると、2026年6月末の株式等は前年比47.0%、投資信託は36.8%の増加で、現金・預金は0.5%の増加でした。割合が動いた理由が、買い増しなのか、値段の変化なのか、その両方なのかは、この表だけでは分かりません。内訳は、日本銀行が公表する金融取引表や調整表で確かめる必要があります。

村長、何もしなくても、割合は変わっちゃうの?

そうなんだぽん。持っている株式や投信の値段が上がれば、その割合は自然に大きくなるぽん。

ニュースの「シフト」は、自分で動かしたってこと?

それは中身を見ないと言えないぽん。値段の変化の影響も混ざっている可能性があるぽん。

ニュースの要約には「リスク資産シフトが続いている」とあります。買い増しの動きを指すのか、残高の変化全体を指すのかは、元の記事で確かめる点です。

この点は令和の総合商社のコラム『「資産運用コーナー」の歩き方。社長の「備え」から考える、無理なく続ける資金づくり』でも詳しく触れています。

質問3 全国の割合は、自分の家計の目安になる?

答え: 目安にはなりません。全国の割合は、年齢、収入、お金を使う時期の違うたくさんの世帯を合計した結果です。自分の家計に合う割合は、使う時期と、減っても困らない金額から考えます。

金融庁のNISAの資料には、投資は「無くても生活に困らない金額から始め、それを継続することが大事」という趣旨の説明があります。ここから言えるのは、割合の目標を全国の数字に合わせる必要はなく、生活に必要なお金と、そうでないお金を分けて考えることが出発点だということです。

分け方の一例を挙げます。これは制度の決まりではなく、考え方の整理です。

  • すぐ使うお金: 毎月の生活費、近く払う税金や保険料、数か月以内の大きな支払い
  • いざというときのお金: 病気や失業などで収入が減ったときに備える分
  • 先に使う予定のないお金: 数年以上使わず、値動きがあっても生活に影響しない分

まず「すぐ使うお金」と「いざというときのお金」が手元の預貯金で足りているかを確かめ、そのうえで残りをどう置くかを考える順番です。

質問4 自分の家計では、何を確かめればいい?

答え: 次の5つを紙やメモ帳に書き出して確かめます。難しい計算は要りません。

  • 預貯金、保険、株式、投資信託などを、いまの金額でそれぞれ書き出したか
  • 全体のうち、現預金とそれ以外が何割ずつになっているか(日常の支払い用のお金を含めるかは、自分で決めて、毎回同じ決め方にする)
  • すぐ使うお金といざというときのお金が、値動きの小さい置き場所で足りているか
  • 値段が下がったとき、いくらまでなら生活や予定に影響しないか
  • 割合が変わった理由が、自分の買い足しや売却なのか、値段の変化なのか

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質問5 株式・投信の割合が増えると、何に気をつける?

答え: 値段が上下すること、預金とは元本の扱いが違うことの2つです。割合が大きくなるほど、値下がりしたときに家計全体へ与える影響も大きくなります。

金融庁の資料には、有価証券への投資は「預金等とは異なり、元本割れ等のリスクを伴います」と書かれています。預金は元本保証があり安全性が高い一方で、得られる利益は小さいという整理も、同じ資料にあります。どちらが良い悪いではなく、性質が違うので、使う時期に合わせて置き分けるという考え方です。

投資信託には、分配金を出すと、その分だけ基準価額が下がる仕組みがあります。金融庁は、分配金は預貯金の利子・利息とは性質が異なる点に留意するよう説明しています。

NISAの制度も、置き場所を考える材料の一つです。金融庁の説明では、新しいNISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、合計360万円です。非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)で、非課税で保有できる期間に期限はありません。枠は上限で、使い切ることが前提ではありません。

村長、預金と株式って、結局どっちが安心なの?

どちらが上とは言えないぽん。元本の扱いが違うので、お金を使う時期で分けるぽん。

じゃあ、割合に正解はないんだね。

そのとおりだぽん。自分が納得して説明できる割合かどうかが、いちばん大事ぽん。

まとめ ニュースは「確かめる合図」として受け止める

家計の現預金や株式・投信の割合のニュースは、動きを知る材料にはなりますが、自分の家計の正解を示すものではありません。

  • 割合は、分母となる「金融資産」の範囲が統計ごとに違う。統計の名前と時点を確認する
  • 残高は時価で評価されるため、割合は売買だけでなく価格の変化でも動く
  • 日本銀行の2026年6月末の速報では、現金・預金が44.9%、株式等が19.3%、投資信託が7.7%だった(ニュースが同じ統計を使っているかは別に確認が必要)
  • 自分の家計では、すぐ使うお金といざというときのお金を先に確保し、残りの置き方を考える
  • 株式・投信は預金と元本の扱いが違う。値下がりした場合に生活に影響しない範囲かを確かめる

この記事は制度や考え方の整理であり、特定の商品や売買をすすめるものではなく、利益を約束するものでもありません。数字は2026年10月27日時点で確認できた公表資料のもので、のちに改訂されることがあります。

具体的な資産の置き方や、NISAなどの制度の利用は、ご家庭の収入、支出、家族構成によって適切な判断が変わります。金融機関の窓口、ファイナンシャル・プランナー、税金が関わる点は税務署や税理士にご確認ください。最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。

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