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新メンバーが仲間になるまでの最初の3か月は、文化祭の準備期間みたいなものです。準備から文化祭! 小さな困りごとに早く気づいて、みんなでやろう、が合言葉です。
みんなでやろう、という気持ちを形にするのが、入社3か月までの面談と現場教育です。この記事では、建設会社で若手や新人が辞める前に気づくために、どの節目で何を聞き、現場で何を確かめればよいかを、質問と答えの形で整理します。厚生労働省と国土交通省の公表資料では、建設業の技能者のうち60歳以上が約4分の1を占める一方、29歳以下は全体の約12%とされ、若い世代の入職と定着が課題とされています。厚生労働省が令和8年10月23日に公表した令和5年3月卒業者の状況では、就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者で36.9%、新規大卒就職者で31.2%でした。だからこそ、採用したあとの最初の期間の関わり方が大切になります。
質問1 入社3か月までの面談はどの節目で何回行えばいいですか
答え: 節目を先に決めておくことが大切です。入社直後、1か月目、3か月目を目安に短い面談を置き、現場が変わる節目にも声をかける形が取り組みやすい方法です。
回数の多さよりも、次にいつ話せるかが本人に伝わっていることが安心につながります。入社直後の面談では、配属先の顔ぶれ、1日の流れ、困ったときの連絡先を確認します。1か月目の面談では、覚えた作業とまだ不安な作業を分けて聞き、3か月目の面談では、任せられる作業の広がりと次の目標を一緒に言葉にします。面談は長い会議にせず、現場の休憩の前後などに短時間で区切ると続けやすくなります。聞いた内容は簡単な記録に残し、次の面談で前回の困りごとがどうなったかを確かめるところまでを1つの流れにします。
委員長、面談って堅い会議みたいにしないとだめですか?
短くて大丈夫です。大事なのは次に話せる日が決まっていることです。
委員長、忙しい現場だと後回しになりそうです。
だからこそ節目を先に決めます。準備から文化祭、の気持ちですね。
質問2 面談では何を聞けば辞めたい気持ちに早く気づけますか
答え: 「困っていることはありますか」という大きな聞き方だけでは答えにくいため、作業、人間関係、体調、通勤や生活リズムのように場面を分けて聞くことが大切です。
たとえば「道具の名前で分からないものはありますか」「声をかけやすい先輩はいますか」「眠れていますか」のように、答える場面が思い浮かぶ聞き方にします。新人は、分からないことを分からないと言えないまま抱え込むことがあります。面談では評価の話に寄せすぎず、まず困りごとを受け止め、会社側で直せることは直す期限を伝えます。直せないことについても、理由と代わりの方法を説明すると、放置されているという受け止めを減らせます。表情や出勤の様子に変化があったときは、次の定例面談を待たずに短く声をかけることも、早めに気づくための方法です。
聞き方のコツは、答えを誘導しないことです。「大丈夫ですか」と聞くと、大丈夫でなくても同じ答えが返りやすくなります。「今週いちばん戸惑った場面はどこですか」のように過去の場面をたずねると、具体的な話が出てきます。出てきた話は否定せずに受け止め、その場で直せることと、持ち帰って検討することを分けて伝えます。面談のたびに同じ聞き方を繰り返すと、本人も前回との変化を比べながら話せるようになります。
質問3 現場教育では安全の面で何を優先して確かめますか
答え: 作業そのものの手順だけでなく、止める判断も含めて確かめることが大切です。危険を感じたときに誰へ知らせるか、知らせることをためらわない雰囲気があるかを、面談と現場の両方で確認します。
労働安全衛生法第59条では、事業者は労働者を雇い入れたとき、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければならないとされています。新人には、担当する作業の手順、保護具の使い方、作業開始時の点検の進め方を、口頭の説明だけで終わらせず、実際に手を動かして確かめる機会を作ります。また、作業中の労働者を直接指導する職長などについては、初任時の教育に加えて、概ね5年ごとなどに能力向上のための再教育を受けさせることが求められています。教える側の知識が新しい状態にあるかどうかも、新人の安全を支える土台です。面談では「危ないと感じた場面はありましたか」と聞き、現場ではその場面の手順を見直す、という往復を続けます。
委員長、新人にはまず作業の速さを教えるべきですか?
順番が大切です。最初は手順と安全の確かめ方から入ります。
委員長、危ないと感じたら止めてもいいのですか?
止めて知らせることが正しい行動だと、最初に伝えておきます。
質問4 働き方のつまずきは残業や休みの面からどう見分けますか
答え: 本人の言葉だけでなく、勤務の記録と照らして見ることが大切です。特定の新人だけ作業が偏っていないか、帰る時刻が遅い日が続いていないかを、面談の前に確かめておきます。
建設業では、令和6年4月1日から時間外労働の上限規制が適用され、上限は原則として月45時間、年360時間とされています。新人もこの枠組みの中で働くため、忙しい現場ほど、作業の配分が一部の人に寄っていないかを早めに見る必要があります。面談では「最近、帰りが遅いと感じる日はありますか」「休みの日に疲れは取れていますか」と聞き、答えと記録に差があるときは、配属や作業の組み方を見直します。体調の変化は本人が言い出しにくい話題でもあるため、無理に理由を聞き出すのではなく、相談できる窓口があることを繰り返し伝える姿勢が大切です。
質問5 先輩や職長との関係づくりで会社側ができることは何ですか
答え: 相談できる相手を1人に絞らないことが大切です。指導する先輩のほか、年齢の近い先輩や事務所の担当者など、場面ごとに声をかけやすい相手が複数いる状態を作ります。
現場では、作業を教える相手と、日常の様子を見る相手が同じとは限りません。新人から見て「この人には聞ける」という相手が複数いると、小さな困りごとが早い段階で表に出てきます。国土交通省は、若者や女性の入職と定着を進める取組を関係機関と連携して行っており、企業側でも計画的な人材育成や環境整備が求められています。会社側は、声かけの担当を決めるだけでなく、先輩側にも「新人が質問しやすい声のかけ方」を共有しておきます。面談で出た困りごとへの対応を先輩と共有し、直ったかどうかを次の面談で本人へ返す流れを作ると、相談することへの信頼が積み重なります。
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まとめ 最初の3か月の関わりを会社の文化として残す
建設会社で新人の定着を支えるのは、入社3か月までの面談と現場教育の積み重ねです。節目ごとの面談で困りごとを場面ごとに聞き、現場教育では手順と安全の確かめ方を優先し、勤務の記録と本人の言葉を照らして働き方のつまずきを早めに見ます。相談できる相手を複数用意し、対応した結果を本人へ返す流れまで作ることで、声を上げやすい雰囲気が育ちます。1回きりの行事にせず、次の新人にも同じ関わり方ができるよう、面談の記録と進め方を会社の中に残していくことが、仲間づくりの土台になります。担当者が代わっても同じ節目で同じ聞き方ができるようにしておくと、新人ごとに当たり外れの差が出にくくなります。
労働時間の上限や安全衛生教育の具体的な進め方など、個別の事情に応じた判断が必要な場合は、労働基準監督署や社会保険労務士など、専門家や所管の窓口にご確認ください。
参考にした公的資料
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