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地域独占と聞くと得そうに思えるけど、範囲と期間の決め方で話はだいぶ変わるで。先に全部聞いとキや。
ほな、始めます。代理店の地域独占とは、決められた地域の中ではその代理店だけが商品やサービスを扱えるようにする決め方です。この記事では、独占がある場合とない場合の違いを比べながら、住宅リフォームや建材・設備のような地域密着の商材を例に、独占範囲の決め方と、契約で確かめる点を解説します。
地域独占(テリトリー)とは何か
テリトリーとは、代理店ごとに割り当てられる担当地域のことです。地域独占のある契約では、その地域の中で同じ商品を扱える代理店を自分だけに限る、という取り決めが置かれます。逆に独占のない契約では、同じ地域に複数の代理店が入り、同じ商品をそれぞれが売る形になります。どちらが正解という話ではなく、地域の広さ、扱う商材の性質、自分が動ける範囲によって向き不向きが変わります。
似た言葉に、公正取引委員会のガイドラインで整理されている責任地域制があります。これは、一定の地域を責任地域として定め、その地域の中で積極的な販売努力をするよう求めるやり方です。同委員会の資料では、責任地域制は通常問題ないものとして扱われています。一方で、担当地域の外での販売活動そのものを禁じるような厳しい決め方は、厳格な地域制限として区別されています。独占と一口に言っても、責任を持たされるだけなのか、地域の外に出ることまで禁じられるのかで、中身は大きく違います。
そのガイドラインは「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」で、1991年(平成3年)7月11日に公正取引委員会事務局が策定したものです。地域の制限は、この指針に沿って、市場の状況や制限の程度によって判断されます。契約書に出てくる独占の言葉も、この整理を知っておくと読み解きやすくなります。
独占あり・なしの違いを比べる
まずは全体像を比べます。見る観点は、地域内での競合の有無、地域の外への売り方、営業に力を入れる動機、契約で確かめる負担の重さです。
| 観点 | 地域独占あり | 地域独占なし |
|---|---|---|
| 地域内の競合 | 同じ商品を扱う代理店は地域内に自分だけです | 同じ地域に複数の代理店が入ります |
| 地域の外の客 | 地域の外への販売がどこまで許されるかを取り決めます | 地域を越えた販売は比較的自由なことが多いです |
| 営業への力の入れ方 | 地域で育てた需要が他店に流れにくく、投資を回収しやすい面があります | 他店の営業で育った需要に乗れる反面、自社の努力が他店の売上になることもあります |
| 課される条件 | 最低販売の条件や責任地域としての活動が求められやすいです | 条件は緩やかなことが多いですが、支援や保護も薄くなりがちです |
| 向く商材の例 | 現地調査や施工、アフター対応が要る地域密着の商材です | 地域を問わず届けられる、対応範囲の広い商材です |
表のとおり、独占ありは「守られる代わりに責任も重い」、独占なしは「自由な代わりに競合も自由」という構図です。独占の言葉だけに目を奪われず、条件とセットで比べることが大切です。
おっちゃん、独占ありのほうが単純に得やないの?
得かどうかは条件次第やで。守られる分、ノルマみたいな条件も重なることが多いんや。
独占なしやと、せっかく営業しても他店に取られることがあるんか?
あり得る話や。やからこそ、独占なしなら差別化の仕方を先に考えとくんやで。
住宅リフォームや建材・設備で独占が効く場面
建設まわりの商材は、地域独占と相性が話題になりやすい分野です。住宅リフォームは現地調査や見積もり、施工、引き渡し後の対応まで、客の住む地域に足を運ぶ仕事です。建材や設備の販売でも、現場への配送や設置、修理対応といった地域に根ざした動きが求められます。こうした商材では、担当地域が重ならないほうが、客にとっても「誰が責任を持つのか」が分かりやすくなります。
一方で、地域独占が弱みになる場面もあります。問い合わせがインターネット経由で地域の外から来ることが増えているため、地域の線引きだけで客を分けきれないケースが出てきます。また、自分の営業範囲が市街地中心なのに、独占地域が広く割り当てられると、遠方の対応に追われて本来の営業が薄くなることもあります。独占地域の広さは、広ければよいというものではなく、自分が実際に回れる範囲と合っているかが問われます。
地域で育てた需要を守るという点では、契約後に売れる状態をどう作るかも独占の効果を左右します。
この点は、コミッターズのコラム『代理店の戦力化とは?契約後に売れる状態をつくる4つの設計』でも詳しく触れています(代理店の戦力化とは?契約後に売れる状態をつくる4つの設計)。
独占の範囲が決まっても、見込み客への働きかけや販売の仕組みが整っていなければ、守られた地域を生かしきれません。独占の有無と、売る仕組みづくりは分けて考える必要があります。
独占範囲の決め方と契約で確かめる点
独占範囲の決め方にはいくつか型があります。市区町村や都道府県で区切る方法、店舗や事業所からの距離や商圏で区切る方法、客の種類や販売の経路で分ける方法などです。どの型でも、曖昧なまま契約すると、地域の境目で「ここはどちらの担当か」という食い違いが起こります。地図上で線を引けるくらい具体的に書かれているかを確認してください。
- 対象地域: どの範囲が独占の対象か。地域の外から来た客や、ネット経由の問い合わせをどう扱うかも含みます。
- 期間: 独占が認められる期間と、更新の進め方。途中で見直される条件があるかも確認します。
- 最低販売の条件: 売上や件数の下限が課されるか。届かなかったときに独占が外れるのか、契約自体が終わるのかも確かめます。
- 解除の扱い: 解除の進め方、解除の後に残る在庫や、抱えている客への対応を誰が引き継ぐかです。
- 対象の範囲: 独占の対象が全商品か一部の商品か。他の商材を扱うことが禁じられていないかも見ます。
とくに最低販売の条件と解除の扱いは、独占ありの契約で重みを持つ部分です。条件を満たす自信があるかどうかは、地域の需要の大きさと自分の営業体制から冷静に見積もる必要があります。条件だけを見て断るのではなく、未達のときに何が起こるのか、その重さを契約前に言葉で確かめることが大切です。
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独占禁止法で気をつける点
地域の制限は、独占禁止法の観点からも整理されています。公正取引委員会のガイドラインでは、取扱商品や販売地域などを制限する非価格制限行為は、新規参入者や既存の競争者が代わりの流通経路を確保しにくくなるおそれや、商品の価格が維持されるおそれがある場合に当たらない限り、通常、問題となるものではないとされています。つまり、地域独占の取り決めがあること自体が、直ちに違法になるわけではありません。
ただし、厳格な地域制限については扱いが異なります。市場における有力なメーカーが厳格な地域制限を行い、それによって商品の価格が維持されるおそれがある場合には、不公正な取引方法に該当し、違法となると同ガイドラインは示しています。有力かどうかの目安は、市場シェアが10%以上であること、または順位が上位3位以内であることです。逆に、市場シェアが10%未満で、かつ順位が上位4位以下である事業者が厳格な地域制限を行う場合には、通常、価格が維持されるおそれはなく、違法とはならないとされています。この厳格な地域制限は、一般指定12項(拘束条件付取引)に当たるものとして整理されています。
おっちゃん、地域を縛る契約は法律的に危ないんか?
一律に危ないとは言われてへんで。制限の程度と市場の状況で判断されるんや。
ほな、価格を指定されるのはどうなんや?
そっちは扱いが厳しいほうや。参考として示されるだけかどうかが分かれ目やで。
価格の扱いも分けて確認してください。再販売価格の拘束は、独占禁止法第2条第9項第4号に定められた不公正な取引方法として、原則として違法となると同ガイドラインに示されています。正当な理由がないのに、メーカーが流通業者の販売価格を拘束することは違法になる、という整理です。一方、メーカーが希望価格を単なる参考として示すことは、それ自体は問題となるものではないとされています。ただし、参考として示すにとどまらず、その価格を守らせるような運用になれば、原則として違法となる場合があるとされています。地域独占の交渉の場で価格の指定まで求められたときは、この線引きを思い出してください。
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まとめ
代理店の地域独占は、地域内での競合をなくす代わりに、責任や条件も重くなる仕組みです。独占なしは自由度が高い代わりに、地域内での競合と向き合うことになります。住宅リフォームや建材・設備のような地域密着の商材では独占が効く場面がありますが、地域の外からの問い合わせや、自分が回れる範囲との兼ね合いも見逃せません。契約では対象地域、期間、最低販売の条件、解除の扱いを具体的に確かめ、独占禁止法の整理では、厳格な地域制限や再販売価格の拘束の扱いが特に重いことも押さえておいてください。独占という言葉の印象ではなく、条件の中身で比べることが、納得のいく契約への近道です。
地域制限や価格の取り決めが独占禁止法に触れるかどうかは、市場の状況によって判断が変わります。契約の前には、弁護士や公正取引委員会の相談窓口など、専門家や所管の窓口にご確認ください。