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よう来たな、兄ちゃん。建設の会社が看板を借りて仕事を広げる話は、ええ話に聞こえるほど契約書の中身が大事やで。判を押す前に、ここだけは先に全部聞いときや。
おっちゃんが最初に言うとくで。建設業の会社や職人チームがフランチャイズに加盟したり代理店になったりするとき、確かめる順番を間違うと、現場は回っても手元に何も残らへんことがあります。この記事では、契約期間や商圏、研修と支援の範囲、解約の条件を、建設の仕事の進め方に引き寄せて整理します。金額の話ではなく、どこを見て、どこで説明を受けるのかという見方に絞ります。
建設の仕事だからこそ先に見るべき前提
建設の仕事は、受注してから現場が終わるまでに時間がかかります。元請や施主との関係、職人の手配、下請への発注、安全や品質の管理は、加盟した後も自社の責任として残る部分が大きいものです。本部の看板や集客の仕組みを使えても、日々の現場運営まで本部が肩代わりするわけではありません。加盟の検討は「集客が楽になるか」だけで決めず、「今の受注の流れとどこが重なり、どこが増えるのか」を分けて考えることが出発点です。
もうひとつ大事なのは、加盟店は本部から独立した事業者だという点です。本部の支店になるのではなく、自社の名前と責任で工事を請け負い続ける形が基本です。売上の波も、人の採用も、資金繰りも、最後は自社で引き受けます。その前提で契約を読むと、「支援してもらえる範囲」と「自社で持ち続ける範囲」の境目が見えやすくなります。
おっちゃん、看板を借りたら仕事は本部が持ってきてくれるんちゃうの?
持ってくる仕組みがあっても、現場を回すのは自分らやで。そこを分けて考えなあかん。
ほな、加盟したら今の得意先との仕事はどうなるんや?
契約で縛られる範囲次第や。既存の取引が対象外かどうか、先に聞いとくんやで。
開示書面と説明の受け方で土台を確かめる
加盟の話が進むと、本部から事業の内容や契約の条件を記した書面が渡され、説明を受ける場が設けられます。小売や飲食の分野では、中小小売商業振興法にもとづいて、契約を結ぶ前に書面を渡して説明することが定められています。建設のように施工や役務が中心の分野では、その法律の対象にならない場合があります。ただし、それで確認が不要になるわけではありません。
公正取引委員会は、フランチャイズに関する独占禁止法上の考え方を示しています。その中では、業種を問わず、加盟を募るときに大事な事項について十分な開示を行わず、実際の内容よりも著しく優良または有利であると誤解させるような勧誘は、ぎまん的顧客誘引として問題になりうるとされています。書面が渡されない、説明が口頭だけで終わる、質問への答えが毎回変わるといった場合は、その時点で立ち止まる材料になります。
受け取った書面は、現場の責任者や経理を担う人とも一緒に読むことが大切です。社長だけが説明を聞くと、研修の日程や報告の手間、資材の発注方法といった実務の負担が見落とされがちです。分からない条件はその場で聞き、答えは控えとして残しておくと、後の確認がしやすくなります。
選び方として外せない確認項目の一覧
ここからは、建設の場面に絞った確認項目を一覧にします。一般的な契約の点検と重なる部分もありますが、建設では「現場が動いている途中で条件が効いてくる」点が特徴です。ひとつずつ、本部への質問の形で確かめてください。
- 契約期間と更新の条件:期間の長さ、更新のときに新たな条件が付くかどうか、更新を断られる場合の扱い
- 商圏の決め方:担当地域がどう区切られるか、同じ地域に本部直営や他の加盟店が出る場合の扱いと、その際の支援や調整の取り決め
- 研修と支援の範囲:開業前の研修の内容と日数、開業後の巡回や経営相談の頻度、集客支援の中身と期間
- 資材と工法の指定:材料や設備の仕入先が指定されるかどうか、自社の取引先を使い続けられる範囲、工法や仕様の自由度
- 見積と価格の決め方:見積の作り方や販売価格について本部の決まりがあるか、値引きや仕様変更への対応の自由度
- 既存の仕事との関係:加盟前からの得意先や元請との取引が契約の対象に入るか、看板を使わない仕事が認められるか
- 中途解約の条件:途中でやめる場合の手続き、条件が契約書に明確に書かれているか、解約の申し出から終了までの流れ
- 契約が終わった後の扱い:看板や商標の使用をやめる時期と方法、同じ地域や同じ相手先への営業に関する取り決めの有無
- 報告と検査の手間:売上や工事の進み具合の報告の頻度と形式、本部が帳簿や現場を確認する場合の範囲
商圏については言葉の確認も大切です。公正取引委員会の考え方では、加盟店の周辺に、同じか似た業種の店を本部が出したり他の加盟店に出させたりすることをドミナント出店と呼んでいます。出店そのものが直ちに問題とされるわけではありませんが、事前の取り決めと違う出店や、取り決めに反して支援が行われない場合は問題になりうるとされています。契約書や開示書面にどう書かれているかで確かめることが大切です。
この点は、コミッターズのコラム『営業の属人化を解消する方法|トップ営業依存を代理店モデルで抜け出す』でも詳しく触れています(営業の属人化を解消する方法|トップ営業依存を代理店モデルで抜け出す)。
中途解約の条件は、始める前ほど見落とされやすい項目です。公正取引委員会も、中途解約の条件が不明確だと、加盟の判断が妨げられるだけでなく、加盟した後にも、どの程度の負担でやめられるのかが分からず解約が事実上難しくなる、と指摘しています。条件が書面で明確かどうかは、説明の姿勢も含めて判断材料になります。
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建設業許可と現場の責任は加盟しても自社に残る
建設ならではの確認として、建設業許可との関係があります。建設業を営むには、軽微な建設工事だけを請け負う場合を除き、国土交通大臣か都道府県知事の許可を受ける必要があります。許可の有効期間は5年間で、工事の種類ごとに受ける仕組みです。軽微な建設工事の目安は、建築一式工事では請負代金が1,500万円に満たない工事か、延べ面積が150平方メートルに満たない木造住宅工事、それ以外の工事では請負代金が500万円未満の工事とされています。いずれも税込みの金額で判断します。
ここで大切なのは、フランチャイズや代理店の契約を結んでも、この許可の枠組みが本部のものに置き換わるわけではない、という点です。本部の看板で受注した工事でも、許可が必要な規模であれば、自社が受けている許可の種類と範囲で請け負えるかどうかを確かめる必要があります。逆に、自社に許可がない分野の工事を看板の力で受けようとすると、契約以前の問題になります。自社の許可の種類と想定する工事の規模が合っているかは、行政庁の窓口でも確認しておくと安心です。
現場の安全や品質、施主への説明、下請への支払いといった請負の責任も、基本的には請け負った自社が担います。本部の工法や仕様の指定がある場合は、その指定と自社の施工体制が無理なく合うかどうかを確かめてください。指定が今のやり方と大きく違う場合、切り替えの期間中は現場の負担が増えることも見込んでおく必要があります。
おっちゃん、加盟したら許可のことも本部が見てくれるんやろか?
許可は自社のものや。看板が変わっても、請け負う責任は自分らに残るで。
ほな支援って、どこまで頼れる話なんや?
集客や研修の中身は契約ごとに違う。範囲と期間を言葉で確かめるんやで。
急いで判を押さないための進め方
項目がそろったら、最後は進め方の確認です。公正取引委員会の考え方でも、本部は加盟を希望する人が契約について十分に検討できる期間を置いて、大事な事項を書いた書面を渡し、説明することが望ましいとされています。説明を受けたその日に決める必要はありません。持ち帰って、家族や社内の人、専門家と読み直す時間を取ることが、現場を守ることにつながります。
可能であれば、すでに加盟している建設系の加盟店の話を聞く機会が持てるかも、本部に尋ねてみてください。研修の実態や支援の頻度、商圏の運用のされ方は、書面だけでは見えにくい部分です。聞いた内容と書面の説明に食い違いがあれば、その点を本部に投げ返して、答えを書面で残してもらう進め方が確実です。
断る判断も含めて、納得できるまで質問を重ねることが大切です。質問に丁寧に答え、条件を書面で示す本部であれば、加盟後のやり取りも同じ姿勢が期待できます。反対に、期限を区切って急がせたり、都合の悪い条件の説明を避けたりする様子が見える場合は、付き合いの相手としてどうかを考える材料になります。
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まとめ
建設業の会社や職人チームが加盟や代理店契約を考えるときは、集客への期待の前に、契約期間と更新、商圏の決め方、研修と支援の範囲、資材や工法の指定、中途解約と終了後の扱いを、開示書面と契約書の両方で確かめることが大切です。あわせて、建設業許可の種類と規模が想定する工事に合っているか、現場の責任が自社に残る前提で体制が組めるかも見てください。検討する期間を取り、答えを書面で残しながら進めることが近道です。
契約の解釈や建設業許可の要否は個別の事情で変わります。最終的な判断は、弁護士や行政書士などの専門家や、許可を受けた行政庁、所管の窓口にご確認ください。