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へいらっしゃい! 年末セールのチラシは、出す前に価格の書き方を一度そろえるのが大事だよ。値下げ幅より先に、根拠のある表示になっているかを見ていこう。
へいらっしゃい! この記事では、小さな店が年末セールを出す前に確かめたい価格表示の点を、質問と答えの形で整理します。通常価格と並べて書く二重価格表示の考え方、割引率や割引額の書き方、期間や対象の示し方、税込価格の表示、そして値下げの前に販売先や売る相手を見直す視点までを扱います。根拠は消費者庁と財務省の公表資料に基づきます。
質問1 「当店通常価格」と並べてよいのはどんな価格ですか
答え: 実際にその価格で販売していた実績があり、最近の相当期間にわたって売られていたといえる価格です。販売価格より高い別の価格を並べて書くことを二重価格表示といい、並べる側の価格を比較対照価格と呼びます。消費者庁の考え方では、内容が適正であれば消費者の選択に役立つ一方で、比較対照価格の表示が適正でない場合は、実際より著しく有利であると誤認される表示に当たるおそれがあるとされています。
過去の販売価格を比較対照価格にする場合の目安も示されています。セール開始時点からさかのぼる8週間について見たときに、その価格で販売されていた期間が、商品が販売されていた期間の過半を占めていれば、最近相当期間にわたって販売されていた価格とみてよいとされています。ただし、その価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合や、その価格で最後に販売した日から2週間以上経過している場合は、当てはまらないとされています。
年末セールでは、まず対象商品ごとに、通常価格と呼ぶ価格でいつからいつまで売っていたかを、値札や販売記録でたどれる状態にしておくことが出発点です。実績の短い商品や、今回初めて並べる商品の価格を通常価格のように見せる書き方は避けます。いつの時点でどの程度の期間売られていた価格なのかを正確に書けない場合は、並記自体を見送る判断も必要です。
会長、セール直前に少しだけ付けた価格も通常価格にできますか?
短い期間だけの価格は、通常価格のように見せると誤解のもとだよ。
では、何を手がかりに判断すればいいんですか?
いつ、どのくらいの期間、その価格で売っていたかの記録だよ。
質問2 割引率や割引額はどう書けばよいですか
答え: 割引率や割引額のもとになる価格が何かをはっきりさせ、対象の範囲と条件をあわせて示します。消費者庁の考え方では、割引率や割引額を用いる表示は、もとの価格と販売価格の差を率や額で表したもので、二重価格表示と同じ考え方が当てはまるとされています。もとになる価格や割引の内容について実際と異なる表示やあいまいな表示を行うと、誤認を与えるおそれがあります。
とくに気をつけたいのは、一括で大きく見せる書き方です。対象が一部の商品に限られるのに、その旨を示さずに店の全商品や商品群全体が対象であるかのように割引率を強調する表示は、問題になるおそれがあるとされています。また、セールの直前に表示価格を引き上げたうえで割引率を表示することや、セールの実施を決めた後に販売を始めた商品を割引の対象に含めることも、同様に挙げられています。
チラシや店頭表示を作るときは、商品ごとに割引のもとになる価格を確認し、対象外の商品がある場合はその範囲が読む側に伝わる書き方にします。最大の割引率だけを大きく出すのではなく、どの商品にどの割引が付くのかが分かる表示にそろえることが、年末の繁忙期でも現場で迷わない工夫です。
質問3 セールの期間や「期間限定」の書き方はどうですか
答え: 期間、対象、条件を具体的に示し、表示した期間のあとの扱いと食い違わないようにします。セール終了後の将来の販売価格を比較対照価格に使う場合、その価格で実際に販売する根拠が十分でないときは、誤認を与えるおそれがあると消費者庁の考え方は示しています。終了後に価格を戻す予定がないのに、戻るかのように書くことは避ける対象です。
また、販売価格そのものの表示では、価格が適用される商品の範囲と、適用される顧客の条件を正確に示すことが求められます。会員だけ、平日だけ、数量に限りがあるなど条件がある場合は、その条件を示さずに価格だけを大きく出すと、誤認につながるおそれがあります。年末セールは来店のきっかけになりやすい分、条件の文字が価格の文字より極端に小さいといった見せ方も含め、表示全体で判断される点を意識します。
会長、「期間限定」とだけ書けば十分なんですか?
いつの期間で、どの商品が対象かまで書くのが基本だよ。
セールが終わったあとの価格はどう扱いますか?
実際に売る予定の価格でないなら、比べる価格には使わないことだよ。
条件がある商品はどう書けばいいんですか?
条件も一緒に見える場所へ書いておくと、来た人が迷わないよ。
質問4 価格は税込で書く必要がありますか
答え: 消費者が支払う総額が一目で分かるよう、税込価格を表示します。財務省の資料では、令和3年4月1日から税込価格の表示、いわゆる総額表示が必要になったと案内されています。対象は事業者が消費者に対して行う価格表示で、店頭の値札や棚札のほか、チラシ、カタログ、広告など、どのような表示媒体でも対象になるとされています。
税込価格に加えて税抜価格を併せて表示すること自体は可能ですが、その場合も税込価格が明瞭に表示されている必要があります。年末セールのチラシでは、割引後の販売価格も税込でそろえ、通常価格と並べる場合も同じ基準で書くと、読み手が支払総額を比べやすくなります。値札の付け替えが追いつかない商品がある場合は、棚札などで税込価格が一目で分かるようにする工夫も、財務省の資料で案内されています。
質問5 値下げの前に、販売先や売る相手を見直すとはどういうことですか
答え: 同じ商品でも、誰に、どんな場面で届けるかを見直すことで、値下げに頼らない売り方が見つかる場合がある、という視点です。年末は贈り物用、年越しの準備用、年明けの仕事始め用など、買い手の目的が普段と変わる時期です。今の売り場やチラシが、そうした目的の買い手に届く形になっているかを点検すると、価格を下げる以外の手がかりが見えてきます。
たとえば、店頭で個人向けに売ってきた品を、近隣の事業者のまとめ買いや、贈答需要のある層へ案内するなど、販売先の組み替えが考えられます。ただし、相手によって価格に差を設ける場合は、それぞれの価格が適用される条件の内容を正確に示すことが、価格表示の考え方でも求められています。相手を変える工夫と、表示を正しく保つ作業は、切り離さずに進めることが大切です。
この点は、コミッターズのコラム『販売先の見直し(値下げより先に変える4つの基準と4手順)』でも詳しく触れています(販売先の見直し(値下げより先に変える4つの基準と4手順))。
見直しの順番としては、まず今の買い手が誰で、どの商品がどの場面で選ばれているかを棚卸しし、次に年末の目的に合う相手や売り場があるかを洗い出します。そのうえで、案内の文面と価格表示を新しい相手に合わせて整え、値下げ幅は最後に決める流れにすると、表示の根拠づくりと並行して進めやすくなります。
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まとめ 年末セールを出す前の確認の順番
年末セールの表示は、値下げ幅を決める前に、根拠を確かめる順番で点検します。最初に、通常価格と並べる価格に販売実績があるかを確認します。次に、割引率や割引額のもとになる価格と対象範囲をそろえ、期間と条件を具体的に書きます。価格は税込で統一し、条件付きの価格は条件も一緒に示します。
そのうえで、値下げだけに頼らず、販売先や売る相手を見直す余地がないかもあわせて検討します。表示の判断に迷う部分が残る場合は、個別の事情によって扱いが変わることもあるため、出稿前に確かめておくと安心です。
価格表示の適否は個別の事情によって判断が分かれる場合があります。個別の表示についての最終的な判断は、消費者庁の窓口や弁護士などの専門家や所管の窓口にご確認ください。