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どうも、係長ですなぁ。外注先との契約を紙のまま続けるか、電子に切り替えるか、迷う時期ですなぁ。比べるところは決まっているので、ここだけ見ればいいですよ。
外注先と交わす契約書を、紙から電子契約に切り替えると、何が変わるのでしょうか。この記事では、発注側の担当者が確認しておきたい違いを、印紙税、契約の成立、本人が結んだことの裏づけ、データの保存の4点で比べます。国税庁や法務省などの公表資料で確認できた内容にもとづいて整理しました。分かるのは、何が変わり何が変わらないのか、切り替えの前に何を決めておくとよいのか、の2点です。
| 比べる点 | 紙の契約書 | 電子契約 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 契約の種類と金額に応じて課税 | 電磁的記録は文書に含まれず課税されないとされる |
| 契約の成立 | 当事者の意思の合致 | 考え方は変わらない |
| 本人の裏づけ | 署名や押印 | 電子署名など |
| 保存 | 書面を保存 | 電子データのまま要件に従って保存 |
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契約書が紙でも電子でも、変わらないことは何か
電子契約にすると、契約の効力そのものが変わるのではないかと心配になるかもしれません。内閣府、法務省、経済産業省が令和2年6月19日に公表した「押印についてのQ&A」は、契約は当事者の意思の合致により成立し、書面の作成とその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていないと説明しています。紙か電子かを考える前に、契約は合意で成り立つという前提があります。
ただし、合意した内容をあとで確かめられるようにしておくことは、紙でも電子でも同じです。取り決めを残す大切さは、姉妹サイトの「在庫を持たない雑貨販売の始め方」でも、仕入先との関係で次のように説明しています。
仕入先との取り決めは、あとで食い違いが出やすい部分です。口頭で済ませず、書面やメールで残します。
外注先との契約でも同じで、口頭だけで済ませず、書面か電子のデータで残しておくことが土台になります。紙と電子は、その残し方の違いと考えると整理しやすくなります。
紙と電子を4つの点で比べる
発注側が確認したい4つの点を、表にまとめます。それぞれの中身は、次の見出しから順に説明します。
| 比べる点 | 紙の契約書 | 電子契約 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 文書の種類と記載された契約金額に応じて課税される | 電磁的記録は印紙税法上の文書に含まれず、課税されないとされる(国税庁の質疑応答事例) |
| 契約の成立 | 当事者の意思の合致で成立する。書面や押印は、特段の定めがある場合を除き要件ではない | 成立の考え方は変わらない |
| 本人が結んだことの裏づけ | 署名や押印 | 電子署名など。電子署名法の推定は、一定の要件を満たす場合に働く |
| 保存 | 書面を保存する | 電子データのまま、決まった要件に従って保存する |
係長、4つとも全部変わるのですか?
いえいえ、契約の成立の考え方は変わりませんなぁ。変わるのは、印紙税、裏づけの方法、保存のしかたですよ。
印紙税がかからないなら、電子のほうが得ということですか?
得かどうかは決めつけませんなぁ。かからない条件と、保存の手間もあわせて見ますよ。
印紙税はどう違うのか
紙の契約書は、文書の種類と記載された契約金額によって、印紙税がかかります。国税庁のタックスアンサーNo.7140(令和8年4月1日現在法令等)では、請負に関する契約書(第2号文書)の印紙税額を次のように示しています。契約金額が1万円以上100万円以下で200円、100万円を超え200万円以下で400円、200万円を超え300万円以下で1千円、300万円を超え500万円以下で2千円です。記載された契約金額が1万円未満のものは非課税とされていますが、第2号文書に所属が決まる文書などは、1万円未満でも非課税文書にならないという注記があります。
一方、電子契約には、国税庁の質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」が参考になります。この事例は、注文請書を書面で作る代わりに、受注内容を記録した電磁的記録に電子署名を付けて電子メールで送る場合を取り上げています。印紙税の課税対象は課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれないため、印紙税は課されないという回答です。ただし、この回答は照会された事実関係を前提にした一般的な内容で、実際の取引に当てはめると結論が異なることもあるとされています。
紙と電子が混ざる場合にも注意が必要です。国税庁の別の質疑応答事例には、電子契約で結んだ契約の内容を変更するため、書面の変更契約書を取り交わし、その書面に当初の電子契約を引用する旨が書いてある場合が出ています。印紙税法上、電磁的記録は文書に含まれないので、電子契約の内容が変更契約書に記載されているものとして判断することはできず、変更契約書に記載してある内容のみに基づいて判断するとされています。
係長、うちの外注は金額が小さいので、印紙税は関係ないですか?
1万円未満は非課税という表もありますが、注記つきですなぁ。金額だけで決めず、文書の種類を確かめますよ。
電子契約なら、その確認はいらなくなりますか?
電子契約そのものは課税の対象外とされています。ただ、紙を併用する契約が出てきたら確認が要りますなぁ。
本人が結んだと言える裏づけはどう違うのか
紙の契約書では、署名や押印が、本人が作った書面であることの裏づけになります。電子契約では、電子署名などがその役目を担います。電子署名法第3条は、本人による電子署名が行われていると認められるときに、本人がその電子文書を作成したと推定する決まりです。
デジタル庁と法務省が所管する「電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)」は、令和2年9月4日に公表され、令和6年1月9日に一部改定されました。利用者の指示にもとづいて、サービス提供事業者自身の署名鍵で暗号化などを行うタイプの電子契約サービスを対象にした資料です。この資料は、推定が働く要件として、署名のための符号や物件が本人だけが行えるように適正に管理されていること、そして本人の意思に基づくものであることを挙げています。
同じ資料は、サービス提供事業者による利用者の身元確認は、推定の必須の要件ではないが、本人であることを立証する有効な手段の一つとしています。また、電子文書の成立の真正は、電子署名法第3条の推定だけで判断されるものではなく、裁判所が自由な心証で判断するとしています。電子署名を付ければそれで安心、とは考えずに、誰が、どの方法で同意したのかを、あとで説明できる形で残しておくことが大切です。
保存はどう違うのか
紙の契約書は書面を、電子契約は電子データを保存します。電子帳簿保存法では、注文書、契約書、送り状、領収書、見積書などに通常記載される事項を電磁的方式でやり取りした場合、その電子データを保存しなければなりません。国税庁の一問一答(電子取引関係、令和8年7月版)は、取引情報の例に契約書を挙げ、雇用契約書をクラウドサービスでやり取りした例でも、電子データの保存が必要としています。
保存の要件は、改ざんを防ぐ措置、ディスプレイなどの備付け、日付・金額・取引先での検索の3つが柱です。細かい中身は、当サイトの「予約・請求・問い合わせをオンライン化する手順」でも触れているため、ここでは契約書に関わる点だけを書きます。
契約書を電子契約のクラウドサービスでやり取りして保存する場合、一問一答は、電子請求書や電子領収書の授受に使うクラウドサービスについて、訂正削除の記録が残るシステム、または訂正削除ができないシステムで授受と保存をしていれば、要件を満たすと考えられると説明しています。契約書の場合も、使うサービスがこの条件にあたるかを、契約の前に提供元へ確認しておきましょう。一方、電子メールで受け取った契約書のファイルは、一般に受領者側でデータの訂正削除ができると考えられるため、タイムスタンプの付与か、事務処理規程にもとづくデータの管理が必要になります。
保存する期間も、一問一答に表があります。法人は、注文書、契約書、領収書などの書類が7年です。個人事業者の青色申告者は、請求書、見積書、契約書、納品書、送り状などの書類が5年とされています。事業の形や申告の方法によって異なるため、自社の保存期間は、税理士や税務署に確認してください。
係長、契約書のPDFをメールでもらっただけでは足りませんか?
消さずに置いておくだけでは足りませんなぁ。改ざんを防ぐ措置と、検索できる状態が要りますよ。
結局、何から決めればいいですか?
外注先ごとに紙か電子かを決めて、保存の場所と担当者も先に決めますなぁ。
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まとめ
紙と電子の契約書は、契約が合意で成り立つ点は同じで、印紙税、本人の裏づけ、保存のしかたに違いがあります。切り替えの前に、次の点を決めておくと進めやすくなります。
- 契約の種類ごとに、紙で結ぶか電子で結ぶかを決める。印紙税の確認が要りそうな契約は、先に税務署や税理士へ相談する
- 電子で結ぶことを外注先に伝え、使うサービスと、同意の方法を決めておく
- 電子データの保存場所、担当者、保存期間を決める。保存の要件に合う場所に置く
- 紙と電子を併用する契約は、印紙税の扱いを個別に確認する
印紙税の扱い、電子署名の効力、保存期間は、契約の内容や事業の形によって変わります。税理士、弁護士、所轄の税務署の窓口などの専門家にご確認ください。最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
参考にした公的資料
- 経済産業省「押印に関するQ&A」(内閣府・法務省・経済産業省、令和2年6月19日)
- 国税庁 タックスアンサー No.7140「印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
- 国税庁 質疑応答事例「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」
- 国税庁 質疑応答事例「変更契約書に電磁的記録(電子契約)を引用する旨の記載がある場合」
- 法務省 電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法第3条関係)
- 国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月版)
- 国税庁 電子帳簿等保存制度を活用して、デジタル化をさらに進めてみませんか?(令和8年6月)
- 国税庁 電子取引データを適切に保存できていますか?(令和6年11月)