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フリーランスへの外注、発注側がやることを5つの手順で整理

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どうも、係長ですなぁ。個人のフリーランスに仕事を頼むとき、発注側にも守る決まりがあるんですよ。ここだけ見ればいいですよ、という順番で整理しますなぁ。

小さな会社で外注の窓口を任されると、見積もりに「お願いします」と返せば終わり、と考えがちです。しかし、従業員を使わない個人や一人法人に業務を頼むときは、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(以下、フリーランス法)で、発注側のやることが決まっています。この記事では、ホームページ制作を個人のデザイナーに頼む場面を例に、発注側の手順を5つに分けて整理します。2026年10月時点の公的資料にもとづく一般的な解説で、個別の取引が対象になるかの判断ではありません。

いま確認したい理由は、時期の動きです。公正取引委員会は、2026年10月8日から11月30日までを「令和8年度におけるフリーランス法の広報強化期間」とし、特設サイトの開設や説明会などで、発注事業者の違反の未然防止を図るとしています。また、下請法の改正で名前が改められた取適法(中小受託取引適正化法)が2026年1月1日に施行されており、両方が適用される発注では、取引条件の明示を同じ書面やメールにまとめて示せるとされています。ただし、一方の法律だけで求められる事項は別に書きます。

  1. 相手と自社が、どの義務に当たるかを確認する
  2. 発注したら直ちに、取引条件を書面かメールで示す
  3. 支払期日を、60日以内の具体的な日付で決める
  4. 減額ややり直しなど、禁止行為を避ける
  5. 記録を残し、相談の窓口を知っておく

係長、うちは従業員が数名の小さな会社ですが、関係ありますか?

会社の大きさより、頼む相手が従業員を使っていない個人や一人法人かどうかが入口ですなぁ。

取引条件を示す決まりは、うちに従業員がいなくてもかかりますか?

かかります。発注側すべてが対象ですよ。順番に見ていきましょう。

おまかせ係長
フリーランスへの外注、発注側の5手順と60日ルール
2026年10月
公的資料で整理
公正取引委員会の特設サイト・e-Gov法令検索で整理
支払期日は、受け取った日から60日以内の日付で決めます
1発注側がやる5つの手順
STEP 1
相手と自社が、どの義務に当たるか確認する

▶

STEP 2
発注したら直ちに、取引条件を書面かメールで示す

▶

STEP 3
支払期日を60日以内の具体的な日付で決める

▶

STEP 4
減額ややり直しなど、禁止行為を避ける

▶

STEP 5
記録を残し、相談の窓口を知っておく
2026年10月8日から11月30日までは、公正取引委員会のフリーランス法の広報強化期間です。
2数字で見るポイント
8項目
直ちに示す取引条件
名称・委託日・給付の内容・期日・報酬など(第3条)
60日以内
報酬の支払期日
成果物を受け取った日から数える(第4条)
7つ
禁止行為
委託が1か月以上のとき(第5条)
30日前
解除・更新しない予告
委託が6か月以上のとき(第16条)
3守ることと、対象になる発注側
守ること 対象
取引条件の明示(第3条) すべての発注側
支払期日の設定と支払い(第4条) 特定業務委託事業者
7つの禁止行為(第5条) 特定業務委託事業者・委託1か月以上
育児・介護への配慮、中途解除の事前予告(第13条、第16条) 特定業務委託事業者・委託6か月以上
4支払いで見落としやすい点(手順3)
✔ こうする
「毎月●日締め、翌月●日払い」のように日付で書く
請求書が届かなくても、期日までに支払う
✖ しない
「まで」「以内」だけの書き方(日が特定できない)
「手数料」「管理料」の名目で報酬から差し引く
振込手数料を相手の負担として差し引く
57つの禁止行為(第5条)
相手の責めに帰すべき事由がないのに行うと対象
受領拒否報酬の減額返品不当な給付内容の変更・やり直し
そのほか
買いたたき購入・利用強制不当な経済上の利益の提供要請
6まとめ
発注したら直ちに8項目を示し、支払いは受け取った日から60日以内の日付で。まず発注メールの定型文を1つ用意しましょう。
出典:公正取引委員会 フリーランス法特設サイト/e-Gov法令検索/確認日 2026年10月おまかせ係長

手順1:相手と自社が、どの義務に当たるかを確認する

守られる相手は「特定受託事業者」で、条文では、個人で従業員を使用しないもの、または法人で代表者1人のほかに役員がなく従業員も使用しないもの、とされています。職種による限定はありません。「従業員を使用」の意味は、姉妹サイトの「代理店ってなんぼのもん?」の記事でも、次のように説明しています。

ここでいう「従業員を使用」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ継続して31日以上雇用される見込みの労働者を雇っていることを指します。同居の親族だけを使っている場合は、従業員の使用に当たらないとされています。

出典:代理店ってなんぼのもん?「個人で代理店の仕事を受けるとフリーランス法の対象?」

頼む相手がこの条件に当てはまる個人のデザイナーなら、対象かどうかを検討する入口です。自社の側では、従業員を使用している個人、または役員が2人以上いる、もしくは従業員を使用している法人が「特定業務委託事業者」にあたります。守ることの範囲は次のとおりです。

発注側が守ること 対象になる発注側
取引条件の明示(第3条) すべての発注側
支払期日の設定と期日内の支払い(第4条) 特定業務委託事業者
7つの禁止行為(第5条) 特定業務委託事業者。委託が1か月以上
育児・介護への配慮、中途解除の事前予告(第13条、第16条) 特定業務委託事業者。委託が6か月以上

このほか、広告などで相手を募集するときの正確な表示(第12条)やハラスメント対策の体制整備(第14条)も、特定業務委託事業者の義務です。

手順2:発注したら直ちに、取引条件を書面かメールで示す

業務委託をしたら、直ちに、給付の内容、報酬の額、支払期日などを、書面または電磁的方法で示さなければなりません(第3条)。口頭で伝えて相手が了承していても、書面などによる明示は必要だとされています。公正取引委員会の特設サイトが挙げる8項目は次のとおりです。

  • 発注事業者とフリーランスの名称
  • 業務委託をした日
  • 給付の内容(例:作るページ数、含める作業、修正の範囲)
  • 納品や作業の期日、場所
  • 検査完了期日(検査をする場合のみ)
  • 報酬の額と支払期日
  • 報酬の支払方法(金銭以外で払う場合のみ)

内容を定められない正当な理由がある事項は、その理由と決める予定の日を最初に示し、決まったあとに直ちに改めて示します。書式は自由で、契約書という名前でなくても、メールの箇条書きで足ります。メールやチャット、SNSのメッセージ機能など、受け取る人を特定して送る方法が該当し、ブログやウェブページへの書き込みだけでは、明示にならないとされています。相手が書面を求めたときは、遅れることなく交付するのが原則です(第3条第2項)。特設サイトには注文書のひな形もあります。

係長、口頭でお願いして、相手も「分かりました」と言ってくれたら十分ですか?

相手が了承していても、書面かメールなどでの明示は必要とされていますなぁ。

契約書を作り込まないといけませんか?

メールの箇条書きでもよいとされています。ただ、8項目がそろっているかが大切ですなぁ。

手順3:支払期日を、60日以内の具体的な日付で決める

特定業務委託事業者は、報酬の支払期日を、相手の成果物を受け取った日から60日以内で、できる限り短く定めなければなりません(第4条)。検査をするかどうかは問われず、社内の確認に時間がかかっても、数え始めるのは受け取った日です。特設サイトは、「まで」「以内」の書き方では日が特定できず、定めたとは認められないとしています。「毎月●日締め、翌月●日払い」のように、日付で書きます。支払いでは、次の点が見落とされがちです。

  • 請求書が届かなくても、定めた期日までに支払う
  • 「手数料」「管理料」などの名目でも、報酬から差し引かない
  • 振込手数料を相手の負担として差し引かない。公正取引委員会のよくある質問では、合意の有無にかかわらず、報酬の減額として問題になるとされています

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手順4:減額ややり直しなど、禁止行為を避ける

委託が1か月以上なら、7つの禁止行為が定められています(第5条)。受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直しです。このうち、受領拒否、減額、返品、変更ややり直しは、相手の責めに帰すべき事由がないのに行うことが対象です。

ホームページ制作で起きやすいのは、修正の依頼です。最初の明示で、修正の範囲や回数、追加作業の費用の扱いを書いておくと、行き違いを減らしやすくなります。報酬の見直しを求められて従来どおり据え置くことも、買いたたきに当たるおそれがあるとされています。

委託が6か月以上続く場合(更新を含む)は、契約を解除するときや更新しないときに、少なくとも30日前までの予告が必要で、相手から請求があれば理由も開示します(第16条)。保守を個人に頼み続けるときは、契約の終わり方も確認しておきましょう。

手順5:記録を残し、相談の窓口を知っておく

取引条件を示したメールや書面、受け取った日、確認を終えた日、支払った日は、案件ごとに保管します。支払期日の起点になる「受け取った日」が、メールの送受信などで分かるようにしておくと、期日の管理がしやすくなります。

相手には申出の窓口があり、取引の適正化は公正取引委員会か中小企業庁、就業環境は厚生労働省に申し出られます(第6条、第17条)。弁護士に無料で相談できる「フリーランス・トラブル110番」もあります。発注側は、申出を理由に取引を減らしたり止めたりしてはなりません(第6条第3項)。違反が認められるとき、公正取引委員会は勧告でき(第8条)、従わなければ命令と公表ができます(第9条)。

まとめ

  • 相手は従業員を使用しない個人や一人法人か。自社は特定業務委託事業者か
  • 発注したら直ちに、8項目をメールや書面で示したか
  • 支払期日を、受け取った日から60日以内の日付にしたか
  • 委託が1か月以上なら禁止行為を、6か月以上なら予告の決まりを確認したか
  • やりとりを案件ごとに記録したか

仕組みを一度作れば、毎回の発注で無理なく守れます。広報強化期間の2026年11月30日までに、特設サイトの注文書のひな形などを参考に、発注メールの定型文を1つ用意するところから始めてみてください。

自社や相手が法律の対象になるか、発注書の書き方が適切かは、弁護士や、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口、都道府県労働局にご確認ください。報酬の会計や消費税の扱いは税理士に、従業員の数え方は社会保険労務士にご相談ください。最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。

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