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質問と答え

免税事業者への支払いと消費税|10月からの7割控除

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係長ですなぁ。取引先の請求書を見て「登録番号がないけど大丈夫かなぁ」と手が止まったら、まずここだけ見ればいいですよ。

外注先や仕入先の中には、消費税の納税が免除されている免税事業者や、インボイス発行事業者の登録をしていない事業者がいます。そうした相手への支払いについて、課税事業者の会社が消費税の計算で使える経過措置の割合が、2026年(令和8年)10月1日から変わりました。この記事では、国税庁などの公表資料にもとづき、発注や経理を任された担当者が最初に押さえたい点を、質問と答えの形で整理します。分かるのは、何がいつから変わったのか、自社の計算でどこを確認するのか、取引先とどう話を進めるのか、の3点です。

なお、ここで扱うのは消費税の仕入税額控除の入口の話です。実際の申告額の計算や、自社が簡易課税などを選んでいるかどうかの判断は、会社ごとに異なります。

免税事業者の解説(おまかせ係長のキャラクターたち)

質問1 免税事業者への支払いは、10月から何が変わったのですか

答え: 免税事業者などインボイス発行事業者以外からの課税仕入れについて、一定割合を仕入税額として控除できる経過措置が、見直されました。国税庁の令和8年度税制改正の案内ページによると、控除できる割合は次のとおりです。改正前は、令和8年10月から3年間は50%で、その後は0%になる予定でした。今回の改正で期限が2年延長され、割合も段階的に見直されています。

期間 控除できる割合
令和8年10月1日から2年間(2026年10月から) 70%
令和10年10月1日から2年間(2028年10月から) 50%
令和12年10月1日から1年間(2030年10月から) 30%
令和13年10月1日以降(2031年10月から) 0%(控除できない)

国税庁は、2031年(令和13年)9月末まで、インボイスがなくても仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられていると説明しています。あわせて、同じ事業者以外の者からの課税仕入れ(税込み)の合計が年または事業年度で1億円を超える場合、超えた部分は対象外になります。改正前は10億円でした。この上限も、令和8年10月1日以後に始まる課税期間から適用されます。

この点は、姉妹サイトの「インボイス登録は必要?開業したての個人の選び方」でも、次のように説明しています。

免税事業者からの仕入れに関する経過措置は、令和8年10月1日から70%に下がり、その後も段階的に縮小されます。

出典:はじめて商店街「インボイス登録は必要?開業したての個人の選び方」

免税事業者への支払いでも、この割合に応じて仕入税額の一部を控除できます。いつの支払いにどの割合が使えるかを、取引ごとに確かめておきましょう。

係長、7割ということは、全額は引けなくなったということですか?

そうですなぁ。インボイスがない相手への支払いは、全額ではなく一部だけが控除の対象になる、という見方ですよ。

じゃあ、以前の8割や5割の話はもう関係ないんですか?

時期によって割合が違いますなぁ。上の表のとおり、自社の課税期間がいつ始まるかで見ればいいですよ。

質問2 免税事業者に払う場合、自社の計算にはどう響きますか

答え: 原則として、仕入税額控除を受けるには、取引相手のインボイス発行事業者から交付されたインボイスを保存しておく必要があります。インボイスは請求書という名前に限らず、領収書や納品書でも、決められた事項が書かれていれば該当します。国税庁が示す記載事項は、次の6つです。

  • 交付を受ける側の氏名または名称
  • 売手の氏名または名称と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目であればその旨)
  • 税率ごとに区分した対価の合計額と適用税率
  • 税率ごとの消費税額等

相手が免税事業者などでインボイスを出せない場合、先ほどの経過措置の範囲だけが控除の対象になります。たとえば、税込みで11万円の外注費(消費税相当額が1万円)を免税事業者に払った場合、10月からの7割なら控除の対象は7,000円分、残りの3,000円分は控除できない、という大まかなイメージです。これは理解のための単純な例で、実際の計算は課税期間や取引の内容によって変わります。

一方、自社が簡易課税制度を選んでいる場合は、消費税の納付税額の計算でインボイスを入手・保存する必要がありません。2割特例や3割特例を使う場合も同じです。ただし、所得税や法人税の面では、領収書や請求書などの保存が引き続き必要とされています。財務省などの資料でも、簡易課税や2割特例を使っている場合は、仕入先への特段の留意は不要と説明されています。

なお、2割特例は令和8年9月30日を含む課税期間で終了します(国税庁の案内ページより)。令和9年分・令和10年分の個人事業者を対象にした3割特例が新しく設けられていますが、これは主に個人の事業者が売上側で使う仕組みです。仕入先がどの特例を使っているかは、自社の控除の割合には直接関係しません。

うちは簡易課税なのかどうか、どこを見ればいいですか?

税務署に出した届出や、経理担当・顧問の税理士さんに聞くのが早いですなぁ。自己判断でなく確認するのがいいですよ。

請求書に番号がなかったら、すぐ控除できないと決めていいんですか?

まず登録の有無を確かめましょう。次の質問で確認の方法を書きますよ。

質問3 取引先が登録しているか、どう確かめますか

答え: 国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で調べられます。登録番号は「T」と13桁の数字ですが、検索するときは「T」を除いた13桁の数字を半角で入力します。一度に最大10件まで調べられます。見つからなかった場合は、入力した番号に誤りがないかをまず見直します。それでも不正なインボイスの疑いがあるときは、国税庁の情報提供フォームから情報を寄せることもできるとされています。

確認の手順は、次のとおりです。

  1. 請求書や領収書に、登録番号の記載があるかを見る。
  2. 記載があれば、公表サイトで番号を入力して、登録されているかを調べる。
  3. 番号がない、または公表サイトで見つからない場合は、取引先にいまの登録状況をたずねる。
  4. 登録がないと分かった場合は、経理担当に伝え、経過措置の扱いで処理するかを決める。

請求書の記載事項のうち、宛名などが省略された簡易インボイスが交付されることもあります。小売業、飲食店業、タクシー業などが該当し、宛名がないだけで不備とは限りません。受け取った書類は、内容を見て判断しましょう。

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質問4 取引先に、どう話を持ちかければよいですか

答え: 財務省・公正取引委員会などの資料では、免税事業者との取引で、発注側が気をつけたい点が整理されています。ポイントは、登録を求めること自体は問題にならないものの、進め方によっては独占禁止法や取適法などで問題になり得る、という点です。同資料が示す、問題となるおそれのある行為の例は次のとおりです。

  • 形式的に再交渉して、消費税分も支払えない水準の価格を一方的に決めること
  • 免税事業者であることを理由に、受け取りを断ったり返品したりすること
  • 価格を据え置く代わりに、算出根拠のはっきりしない協賛金や、必要のない商品の購入を求めること
  • 登録をしない相手に対して、一方的に値下げや取引停止を告げること

同じ資料では、免税事業者も自らの仕入れで消費税を負担していることを踏まえて話し合うこと、見積書の税抜価格が支払総額から逆算して低く設定されていないかを確認すること、仕入先から切り出しにくい場合は発注側から価格の相談を申し出ることも検討されている、と説明されています。取引先が課税事業者に変わったときは、消費税相当額を価格に上乗せすることが相当とされています。

登録してくれないなら、値下げしてもらえばいいのでは?

そこは慎重にですなぁ。一方的に決めると問題になるおそれがあると、資料に書かれていますよ。

じゃあ、まず何から話せばいいんでしょう?

先方の事情を聞いて、いまの登録の予定や価格の考え方を一緒に確認することですなぁ。話し合いの記録も残しておくといいですよ。

社内で決めきれないときは?

経理と、必要なら税理士さんや窓口に相談ですなぁ。

質問5 最初の一歩として、何を整えておけばよいですか

答え: 大きな準備は要りません。次の項目を、担当者の手元で一度そろえておくと、請求書が届いたときに迷いにくくなります。

  • 自社が簡易課税、2割特例などを使っているか(使っていれば、仕入先の登録の有無は納付額の計算に影響しない)
  • 主な取引先の登録番号の有無と、公表サイトでの確認結果
  • 登録がない取引先への支払いが、年間でどのくらいあるか(1億円の上限の確認も含む)
  • 見積書や発注書の価格が、税抜と税込のどちらで書かれているか
  • 取引条件を見直すときの、社内の窓口と記録の残し方

公表資料の相談窓口として、財務省などの資料にはインボイスコールセンター(0120-205-553、平日9時から17時、無料)が案内されています。取引条件に関する疑問は、公正取引委員会や中小企業庁、各地方の事務所などの窓口が案内されています。電話番号や受付時間は変わることがあるため、問い合わせる前に各機関の最新の案内で確認しましょう。

まとめ

免税事業者などへの支払いは、2026年10月から、控除できる割合が7割になりました。その後は2028年10月から5割、2030年10月から3割と下がり、2031年10月以降は控除できなくなります。年間の合計が1億円を超える部分は対象外になる点も、あわせて見ておきましょう。

自社が簡易課税や2割特例を使っているかどうかで、見るべき範囲は変わります。登録番号は公表サイトで確かめられます。取引先との条件の話し合いは、一方的に決めず、先方の事情を聞きながら進めることが大切です。

この記事は2026年10月22日時点の公表資料にもとづく一般的な情報で、個別の取引や申告の助言ではありません。消費税の計算や届出は、税理士、または管轄の税務署にご確認ください。取引先との条件の見直しで法律上の問題が気になるときは、弁護士や、公正取引委員会・中小企業庁などの窓口にもご相談ください。最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。

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