当サイトは広告を含みます。
どうも、係長ですなぁ。オンライン化は、全部を一度にやろうとすると息切れしますなぁ。ここだけ見ればいいですよ、という順番で、予約、請求、問い合わせを1つずつ進めていきましょう。
電話や紙、口頭で受けている予約、請求、問い合わせをオンラインへ移すには、どんな順番で進めればよいのでしょうか。この記事では、全体の流れを6つの手順で示したうえで、それぞれの進め方と、国税庁などの公的資料で確認できる注意点(インボイスの記載事項、電子取引データの保存、個人情報の扱い)を整理します。制度の内容は、2026年10月20日時点の公的ページで確認したものです。
まず全体の流れをつかむ、6つの手順
中小企業庁は、受発注のデジタル化について、作業効率の向上、人的ミスの軽減、取引記録の検索性の向上が期待できる取り組みとして案内しています。ただし、予約、請求、問い合わせを同時に切り替えると、現場が混乱しやすくなります。次の順番で、1つずつ進めるのが基本です。
- 今のやり方を書き出す:誰が、いつ、何で受け付けているかを一覧にする
- 最初に切り替えるものを1つ選ぶ:手間が大きいもの、ミスが起きやすいものから始める
- 集める情報と使い道を決める:項目を必要最小限にして、利用目的を決める
- 道具を選んで試す:機能、費用、データの取り出しやすさを比べ、身近な人で試す
- 記録の保存ルールを決める:何を、どこに、何年残すかを決める
- 動かしながら見直す:受付の件数や手間を確認し、改善する
手順1の書き出しでは、紙、電話、メールのどこに情報が散らばっているかが見えてきます。予約はノートに、請求は表計算ソフトに、問い合わせはメールに、と分かれていると、探す手間や転記のミスが増えやすくなります。どれから切り替えるかは、「手作業の負担が大きいもの」や「ミスが起きやすいもの」を基準にする方法があります。
係長、予約も請求も問い合わせも、全部いっぺんに変えたほうがいいですか?
いっぺんに変えると、現場が混乱しやすいですなぁ。1つ選んで、そこから始めましょう。
どれから始めるか、迷いそうです。
今のやり方を書き出すと、手作業が多いところが見えてきますよ。
予約をオンライン化する(手順3と4の例)
予約のオンライン化は、空き状況の確認、申込の受付、確認の連絡、変更やキャンセルの対応を、画面上で進められるようにすることが目安です。まず、予約に必要な情報を絞ります。氏名、連絡先、希望の日時、メニューや人数くらいにとどめ、必要のない情報は集めないほうが、管理も説明も楽になります。
氏名や連絡先を集める以上、個人情報保護法が関わります。個人情報保護委員会のチェックリストによると、この法律はすべての事業者に適用されており、個人情報を取得するときは、利用目的を決めて本人に伝えるか、ホームページなどで公表します。集めた情報は決めた目的の範囲内で使い、目的外に使う場合は事前に本人の同意が必要です。パスワードの設定など、安全な管理も求められます。
外部の予約サービスを使うときは、サービスの事業者に情報を預けることになります。情報処理推進機構(IPA)の「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」には、クラウドなどのサービスを使うときに、事業者側の作業範囲とセキュリティ対策を把握することが挙がっています。契約前に、データの保管の仕組みと、解約したときにデータを取り出せるかを確認しておくと安心です。予約画面には、キャンセルの期限と変更の方法も分かりやすく示しておきましょう。
請求をオンライン化する
請求のオンライン化は、請求書を電子データで作って送り、控えの保存と入金の確認まで電子上で管理する流れです。次の4つの順番で進めます。
- 請求書に載せる項目を決める:取引先の名称、請求日、取引の内容、金額、支払期限、振込先、自社の名称と登録番号など
- 電子データで作って送る:請求や会計のソフト、または表計算ソフトで作り、電子メールなどで送る
- 控えを保存する:送った請求書の写しを、決めた場所に保存する
- 入金を確認して記録する:入金日と金額を請求書と突き合わせる
インボイス制度に対応する場合、請求書に載せる事項が決まっています。国税庁の案内では、インボイス(適格請求書)の記載事項は次の6つです。
- 発行する事業者の氏名または名称と登録番号
- 取引年月日
- 取引の内容(軽減税率の対象品目の場合はその旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
書類の名称や様式は問われず、請求書と納品書など、関連が明確な複数の書類を合わせて記載事項を満たすこともできます。インボイスを交付できるのは、税務署長の登録を受けたインボイス発行事業者に限られ、免税事業者は発行できません。課税事業者である買い手から求められた場合は交付義務があり、交付したインボイスの写しは保存します。電子データで提供することもでき、その保存は電子帳簿保存法に準じた方法で行います。登録番号は、法人番号を持つ課税事業者なら「T」と法人番号、それ以外は「T」と13桁の数字です。
係長、インボイスの請求書は、何から見ればいいですか?
まず見るのは、登録番号と税率ごとの金額ですなぁ。ここだけ見ればいいですよ、という入口ですよ。
「請求書」という名前でないとだめですか?
名前や様式は問われません。ほかの記載事項も、そろっているかを順に見ていきましょう。
問い合わせをオンライン化する
問い合わせのオンライン化は、ホームページのフォームや専用のメールアドレスで受け付け、返信と記録を一か所で管理する形が基本です。次の点を決めておきます。
- 入力項目:名前、連絡先、問い合わせ内容など、返信に必要なものに絞る
- 利用目的の表示:フォームの近くに、何のために情報を使うのかを書く
- 自動返信:受け付けたことを伝える返信を送り、返信の目安日数も書く
- 担当と期限:誰が、何日以内に返信するかを決める
- 内容の仕分け:単なる質問か、見積もりや注文につながる内容かを分けて管理する
国税庁の電子帳簿保存法一問一答では、取引情報を含まないメールは保存不要とされています。一方で、見積もりの金額や注文の内容など、取引情報が書かれたメールは、電子取引として保存の対象になります。問い合わせの中に取引情報が含まれる場合に備えて、仕分けのルールを決めておくと、あとで探しやすくなります。
電子で受け渡した記録の保存ルール
オンライン化を進めると、見積書、請求書、領収書などを電子データでやり取りする機会が増えます。国税庁の一問一答(電子取引関係、令和8年7月)によると、電子メールの添付ファイルやクラウドサービスなどで取引情報を受け渡した場合は、電子データのまま保存します。紙に出力しただけの保存は、令和6年1月1日以後の取引では認められません。保存には、次の要件があります。
- 真実性:タイムスタンプの付与、訂正削除の記録が残るまたはできないシステムでの授受と保存、訂正削除を防ぐ事務処理規程の整備と運用のうち、いずれかを行います。
- 可視性:ディスプレイやプリンタなどを備え付け、整った形で速やかに表示や出力ができるようにします。
- 検索:取引年月日、取引金額、取引先で検索できるようにします。ただし、基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の売上高が5,000万円以下で、税務職員のダウンロードの求めに応じられる場合などは、この検索の要件は不要です。
保存期間は、法人は原則7年、個人事業者は青色申告の場合、請求書や見積書などの書類は5年とされています。消費税の仕入税額控除のために保存する請求書等は、7年の保存が必要です。事業の形によって扱いが変わるため、自社の場合は国税庁の資料や税理士に確認しましょう。
この点は、姉妹サイトの「個人事業主の経費の考え方を質問と答えで整理」でも、次のように説明しています。
また、請求書や領収書などの電子データを、メールやインターネット経由で受け取った場合は、その電子データを一定の要件を満たした形で保存することが必要です。
請求や問い合わせをオンライン化すると、メールで届く請求書や見積書も保存の対象になります。受け取る側の保存方法も、切り替えの前に決めておきましょう。
係長、取引のメールを印刷して取っておけば、保存はそれで済みますか?
取引情報が書かれたメールは、印刷だけでは足りませんなぁ。電子データのまま残しますよ。
保存の決まりは、いろいろありそうです。
要件は本文のとおりです。迷ったら、税理士や税務署に確認すると安心ですなぁ。
PR(当サイト関連サービスへのリンク)
まとめ
予約、請求、問い合わせのオンライン化は、現状を書き出し、1つずつ切り替え、記録の保存ルールまで決めて完了です。ポイントを整理すると、次のとおりです。
- 手順は、書き出し、1つ選ぶ、情報と目的を決める、道具を試す、保存ルールを決める、見直す
- 予約や問い合わせでは、集める情報を絞り、利用目的を本人に伝えるか公表する
- 請求書は、インボイスの6つの記載事項と登録番号を確認する
- 電子で受け渡した取引の記録は、電子データのまま保存する
制度の適用は、事業の形や規模によって変わります。まずは手間の大きい業務を1つ選び、小さく試すところから始めてみてください。
インボイス制度や電子帳簿保存法の扱いは税理士や所轄の税務署、個人情報の取り扱いは個人情報保護委員会の相談窓口などの専門家や所管の窓口で確認できます。この記事は一般的な情報の整理であり、最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。