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へいらっしゃい!商店街の会長だよ。開業したばかりの人から「インボイスの登録はしたほうがいいの?」とよく聞かれるんだよ。答えは人によって違うから、選ぶための目安を一緒に見ていこうね!
会長と一緒に見ていきましょう。この記事では、開業したての個人事業主が、適格請求書発行事業者(いわゆるインボイス発行事業者)の登録をするかどうかを選ぶための目安を整理します。令和8年(2026年)10月には、免税事業者からの仕入れに関する経過措置の割合が変わり、令和9年分からは個人事業者向けの「3割特例」が始まります。国税庁の資料で確認できた内容をもとに、登録の判断材料、税額の計算方法の選び方、届出の段取りを順に解説します。
まず確認:開業したての個人は免税事業者から始まることが多い
国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令等)によると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として消費税の納税義務が免除されます。個人事業者の基準期間は前々年です。開業したばかりの人は前々年に売上がないため、下の例外にあたらなければ、免税事業者として始まることが多くなります。
ただし、次の場合は納税義務が免除されません。
- インボイス発行事業者の登録を受けている場合
- 特定期間(個人事業者は前年1月1日から6月30日まで)の課税売上高が1,000万円を超える場合(給与等の支払額で判定することもできます)
- 消費税課税事業者選択届出書を提出している場合
つまり、登録をすると、売上が1,000万円以下でも課税事業者になり、消費税の申告と納付が必要になります。登録は「請求書の書き方が変わるだけ」ではない点を、最初に押さえておきましょう。
会長、登録するとどうして消費税を納めることになるんですか?
インボイスを出せるのは課税事業者だけだからなんだよ。登録すると免税ではなくなるんだよ。
じゃあ、登録しないほうが得なんですか?
そう単純でもないんだよ。取引先が困るかどうかも考えて選ぶことになるんだよ。
登録しない場合に取引先側で起きること
取引先が課税事業者の場合、原則としてインボイスがない仕入れは、消費税の計算で仕入税額控除ができません。ただし経過措置として、免税事業者などからの仕入れでも一定の割合を控除できます。国税庁の「インボイス制度に関するお知らせ(令和8年度税制改正特集)」(令和8年9月)では、この割合が次のように変わると案内されています。
- 令和8年10月1日から:80%から70%へ
- 令和10年10月1日から:50%
- 令和12年10月1日から:30%
- 令和13年10月1日から:控除できなくなる
割合が下がるほど、登録していない事業者から仕入れる側の負担は増えます。会社やお店を相手にする商いでは、取引先から登録の有無を聞かれる場面が増えると考えられます。一方、主なお客様が一般の消費者で、仕入税額控除を気にしない相手であれば、登録しないことの影響は比較的小さくなります。
この点は、姉妹サイトの「予約・請求・問い合わせをオンライン化する手順」でも、次のように説明しています。
インボイスを交付できるのは、税務署長の登録を受けたインボイス発行事業者に限られ、免税事業者は発行できません。
登録しない場合は、課税事業者の取引先から登録番号入りの請求書を求められても出せません。主な取引先がどちらかを、判断の材料にしましょう。
登録するか選ぶときのチェック項目
次の項目に多く当てはまるほど、登録を前向きに検討する理由が増えます。反対に、ほとんど当てはまらない場合は、免税事業者のまま様子を見る選び方もあります。
- 売上の多くが、会社や課税事業者のお店との取引である
- 取引先から、登録番号の記載された請求書を求められている
- これから会社相手の取引を増やす予定がある
- 消費税分を含めた価格で受け取り、申告と納付の資金を取り分けておける
- 帳簿づけや消費税の申告に、時間か外部の手を割ける
- 登録後しばらくは免税事業者に戻れない点を理解している
最後の項目は大切です。国税庁の「インボイス制度において事業者が注意すべき事例集」(令和8年4月改訂)では、免税事業者が経過措置で登録した場合、原則として、登録日から2年を経過する日の属する課税期間の末日までは、基準期間の課税売上高にかかわらず納税義務が免除されないと説明されています(令和5年10月1日を含む課税期間に登録した場合を除きます)。「お試しで登録して、すぐやめる」という使い方はしにくい仕組みです。
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登録する場合の税額の計算方法の選び方
登録して課税事業者になったら、消費税の納付税額をどう計算するかも選ぶことになります。国税庁の資料で確認できた選択肢は次のとおりです。
| 計算方法 | 使える時期・条件の要点 | 考え方 |
|---|---|---|
| 2割特例 | 個人事業者は令和8年分の確定申告まで。基準期間の課税売上高1,000万円以下など | 売上に係る消費税額の2割を納付税額とする。事前の届出は不要 |
| 3割特例 | 令和9年分と令和10年分。免税事業者から登録を機に課税事業者となった個人事業者 | 売上に係る消費税額の3割を納付税額とする |
| 簡易課税 | 基準期間の課税売上高5,000万円以下。届出が必要 | 業種ごとのみなし仕入率(卸売業90%、小売業80%、飲食店業を除くサービス業50%など)で計算する |
| 本則課税 | 上記を選ばない場合 | 実際の仕入れや経費の消費税額を差し引いて計算する |
国税庁は2割特例について、卸売業など簡易課税のほうが有利になる場合や、多額の設備投資で還付が生じる場合は不利になることがあると説明しています。3割特例の細かな要件は、国税庁のインボイス制度特設サイトの令和8年度税制改正特集で確認してください。
また、2割特例(3割特例)を適用した翌課税期間は、その申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出せば、その課税期間から簡易課税を使えるとされています。例として、令和8年分で2割特例を使った場合、令和10年3月31日までに届出書を出せば、令和9年分から簡易課税を適用できると案内されています。なお、簡易課税は原則として、届出の効力が生じた課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、やめる届出を出せません。
会長、表の計算方法はどれを選べばいいんですか?
業種や仕入れの多さで向き不向きが変わるんだよ。だから一つに決めつけないんだよ。
比べるには、何を用意すればいいですか?
売上と仕入れ・経費の見込みだよ。それをもとに専門家と試算すると選びやすいんだよ。
登録すると決めたら:時期と届出の段取り
免税事業者が登録する場合の流れを、国税庁の「登録制度の見直しと手続の柔軟化に関する概要」などで確認できた範囲で整理します。
- 取引先との関係と、売上・経費の見込みを整理し、登録するかを決める
- 登録を受けたい日を決める。課税期間の途中から登録する場合は、提出日から15日以後の日を「登録希望日」として申請書に書く
- 課税期間の初日(個人事業者は1月1日)から登録を受けたい場合は、その初日の15日前までに申請書を出す
- 簡易課税を使う場合は、登録日を含む課税期間中に簡易課税制度選択届出書を出す
- 登録後は、登録番号を記載した請求書の様式を整え、消費税の申告に向けて帳簿をつける
令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中の登録であれば、経過措置により、消費税課税事業者選択届出書を出さずに登録できます。また、登録の通知が登録希望日までに届かなくても、登録希望日にさかのぼって登録を受けたものとみなされます。年明けからの登録を考えている人は、年内の早めの時期に判断材料をそろえておくと慌てずに済みます。
会長、迷っているうちに年が明けたらどうなるんですか?
年の途中からでも、登録希望日を書いて申請できる仕組みがあるんだよ。
それなら焦らなくていいんですね。
そうだよ。ただ取引先の都合もあるから、早めに話しておくといいんだよ。
まとめ
開業したての個人事業主は、免税事業者として始まることが多い一方、登録すると売上が1,000万円以下でも消費税の申告と納付が必要になります。登録するかどうかは、主な取引先が会社か一般の消費者か、取引先から登録を求められているか、申告の手間と資金を用意できるかで選ぶのが基本です。免税事業者からの仕入れに関する経過措置は、令和8年10月1日から70%に下がり、その後も段階的に縮小されます。登録する場合は、令和8年分までの2割特例、令和9年分と令和10年分の3割特例、簡易課税、本則課税のどれで計算するかもあわせて検討しましょう。
この記事は、国税庁が公表している資料をもとに一般的な内容をまとめたもので、個別の税務判断を示すものではありません。登録の要否や計算方法の選択は、業種・取引先・売上の見込みによって変わります。税理士や所轄の税務署などにご相談のうえ、最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。