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へいらっしゃい!商店街の会長だよ。事業計画書は、お金を借りるときだけの書類じゃなくて、自分の商いの地図になるんだよ。つまずきやすい点を、質問と答えで見ていこうね!
事業計画書は、これから始める商いの中身と、お金の見通しを整理して書きとめる書類です。融資や補助金に出すときにも求められますが、まずは自分自身が商いを具体的に考えるための道具になります。この記事では、日本政策金融公庫が公開している創業計画書の様式、創業の手引(令和8年5月)、自己点検の一覧を手がかりに、はじめて作る人が迷いやすい点を質問と答えの形で整理します。
質問1:事業計画書と「創業計画書」は同じものですか?
答え: 同じとは限りません。創業計画書は、日本政策金融公庫の国民生活事業が、新たに事業を始める方に事業計画等を記入してもらう様式で、公庫のホームページから表計算ソフト形式などで入手できます。様式の注意書きには、この書類は面談にかかる時間を短縮するために使うこと、可能な範囲で記入して借入申込書に添えて出すこと、この書類に代えて自分で作った計画書を出してもよいことが書かれています。
補助金など、ほかの申請では、様式や要件が別に定められるのが一般的です。中小企業庁のミラサポplusも、補助金は公募の終了や要件の変更があるため、各補助金の公式サイト等で詳細を確認するよう案内しています。出す先が決まったら、その先の最新の案内にあわせて書き直す前提で、土台となる計画を先に固めましょう。
質問2:創業計画書には何を書きますか?
答え: 様式は10の項目で構成されています。
- 1 創業の動機(どのような目的、動機で創業するか)
- 2 経営者の略歴等(過去の事業経験、取得資格、許認可、知的財産権等を含む)
- 3 取扱商品・サービス(セールスポイント、販売ターゲット・販売戦略、競合・市場など)
- 4 従業員
- 5 取引先・取引関係等(販売先、仕入先、回収・支払の条件)
- 6 関連企業
- 7 お借入の状況
- 8 必要な資金と調達方法
- 9 事業の見通し(月平均)
- 10 自由記述欄(アピールポイント、悩み、希望するアドバイス等)
略歴については、勤務先名だけでなく、担当業務や役職、身につけた技能なども書くよう、様式に注記があります。公庫のホームページには、書き方を動画で解説したページもあります。
会長、10項目もあると、全部書けるか不安です。
様式にも「可能な範囲でご記入ください」とあるんだよ。書けるところから始めよう。
書けないところは、どうすればいいですか?
調べる宿題にして、次の質問から順に、考え方を見ながら埋めていくんだよ。
質問3:売上の見通しは、どうやって決めますか?
答え: 思いつきの数字ではなく、計算の根拠を持って予測します。様式にも、売上高、売上原価(仕入高)、経費を計算した根拠を記入するよう書かれています。創業の手引では、代表的な根拠として、前の勤務先での実績、創業予定地での市場調査、SNSのフォロワーなど顧客候補になる人の数が挙げられています。
業種ごとの式も紹介されています。小売業などは「1日当たりの来店客数×客単価×営業日数」、ネット販売は「1か月当たりの集客数×購入率(コンバージョン率)×客単価」、飲食業や理美容業などは「客単価×席数や椅子の数×回転数×営業日数」です。業種ごとの原価率などは、日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」で調べられると案内されています。
利益は「売上高−売上原価−経費」で求めます。借入金の返済元金や家計費は経費に含めず、個人営業の場合、様式の人件費に事業主分は含めません。経費は、消耗品費、水道光熱費、広告宣伝費などの漏れがないかを確認します。月ごとの細かい収支を考えたいときは、月別収支計画書という別の様式も用意されています。
質問4:必要なお金と調達方法は、どう整理しますか?
答え: 必要な資金を「設備資金」と「運転資金」に分け、調達方法と並べて、合計が一致するように整理します。設備資金は店舗、工場、機械、車両などで、見積先と金額を書きます。運転資金は商品仕入や経費の支払にあてる資金です。調達方法には、自己資金、親・兄弟・知人・友人等からの借入、日本政策金融公庫からの借入、他の金融機関等からの借入を並べます。
創業の手引のチェックポイントは次のとおりです。設備は複数社から見積を取り、中古品の購入やリース・レンタルで初期投資を抑えられないかも検討します。運転資金は、事業が黒字化して資金繰りが安定するまでの分を見積もり、販売先からの入金条件と仕入先への支払条件も踏まえます。また、自己資金の割合が高いほど借入の割合は低くなり、余裕をもった資金繰りが可能になるとされています。
この点は、姉妹サイトの「外注の見積書の見かたと確認項目を質問と答えで整理」でも、次のように説明しています。
「一式」は便利な書き方ですが、何がどこまで含まれるのかが見えにくくなります。
設備の見積を複数社から取るときも、一式の中身を確認して同じ範囲で見比べると、金額の差の理由がつかみやすくなります。
参考として、同じ手引には、日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」で調達総額に占める自己資金の割合が平均22.9%、「2025年版新規開業白書」で黒字化にかかった期間が平均6.4か月と記されています。いずれも平均値であり、自分の計画が満たすべき基準ではありません。
会長、自己資金は平均でどれくらい必要なんですか?
手引には平均22.9%という調査結果があるけど、あくまで平均なんだよ。
それに合わせないといけませんか?
合わせる基準じゃないんだよ。自分の計画で、必要な額と調達方法を積み上げていこうね。
質問5:融資や補助金に出す前に、何を確かめますか?
答え: 計画全体を、自己点検の一覧で見直します。日本政策金融公庫の「創業計画書セルフチェックリスト」には、次のような点検項目があります。
- 創業への熱意や、創業を志すまでの経緯を書いているか
- 担当した業務や役職、実績、資格・スキルを書いているか
- 誰に、何を、いくらで売るか、セールスポイントと販売戦略を書いているか
- 競合他社や市場(店舗なら近隣の状況)を調べて書いているか
- 入金や支払いのタイミングなど、取引形態を書いているか
- 見積金額が適切か、相場や相見積もりで検証しているか
- 事業開始後の運転資金(半年程度の赤字補てん資金など)を検討しているか
- 自己資金が少なく、借入に頼りすぎた計画になっていないか
- 売上高や売上原価に計算根拠があり、経費に漏れがなく、利益から借入の返済が可能か
- 全体を通して整理されているか
公庫の融資は、申込後に面談があり、資金の使いみちや事業の計画について話を聞かれる流れです。創業計画書のほか、設備資金なら見積書、許可や届出が必要な事業なら許認可証などの添付書類が案内されています。審査の結果によっては、希望に沿えない場合があるとも書かれています。
補助金は返済不要が原則の資金ですが、精算払いや補助率など一定の制約があると、創業の手引は説明しています。たとえば小規模事業者持続化補助金は、中小企業基盤整備機構のJ-Net21で、小規模事業者自らが作成した経営計画に基づく販路開拓等の取組の経費の一部を補助するものと紹介されています。窓口は地域の商工会・商工会議所とされています。公募ごとに条件が異なるため、最新の公募要領を確認してください。
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まとめ:計画書は「提出用」の前に「自分用」を作る
- 創業計画書は公庫の様式の一つで、自分で作った計画書で代えてよいとされている。補助金などは出す先の様式に従う。
- 売上は計算根拠を持って予測し、利益、返済、家計費を分けて考える。
- 資金は、設備資金と運転資金に分け、調達方法と合計が一致するように整理する。
- 出す前に、自己点検の一覧で全体を見直す。
数字や様式は、時期や出す先によって変わります。提出の前に、最新の案内と様式を確認しましょう。
この記事は公的資料にもとづく一般的な情報の整理であり、融資や補助金の審査結果を保証するものではありません。計画の作り方や数字は、事業の内容によって異なります。最終的な判断は、日本政策金融公庫や金融機関の窓口、商工会・商工会議所、税理士、中小企業診断士などの専門家や所管の窓口にご確認ください。補助金は、各公募の事務局の最新の案内に従ってください。