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店長っす! 年末に向けて、ネットのお店でもセールの準備が始まる時期っす。正直に答えるっす、「通常価格○円→○円」の書き方には、消費者庁が示した目安があるっす!
11月下旬のブラックフライデー(2026年は11月27日)から年末年始にかけて、雑貨のネット販売でもセールを企画するお店が増えます。そのときによく使われるのが、セール価格の横に「通常価格」などの高い価格を並べる二重価格表示です。この記事では、消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)などをもとに、よくある疑問を質問と答えで整理します。内容は2026年10月21日時点で確認した資料と法律の条文に基づきます。
質問1 二重価格表示とは何で、なぜ注意が必要なのですか?
答え: 自分の販売価格に、それより高い「比較対照価格」を並べて書く表示のことです。比較対照価格の中身が正しくないと、景品表示法の不当表示に当たるおそれがあります。
価格表示ガイドラインは、二重価格表示について、内容が適正なら消費者の商品選びや事業者間の価格競争に役立つ面があるとしています。一方で、比較対照価格が事実と違う場合や、どんな価格なのかがあいまいな場合には、消費者に「安い」と誤認させ、不当表示に当たるおそれがあるとしています。
景品表示法の第5条第2号は、価格などの取引条件について、実際よりも、またはほかの事業者のものよりも著しく有利だと一般消費者に誤認される表示を禁止しています。これがいわゆる「有利誤認表示」です。比較対照価格には、主に次の種類があります。
- 過去の販売価格(「当店通常価格」「セール前価格」など)
- 将来の販売価格(「セール終了後は○円」など)
- メーカーなどが設定した希望小売価格
- ほかのお店の販売価格や「市価」
どれを使うかで、確認すべき点が変わります。なお、新品と中古品や傷のある品は同一の商品とは考えられない、とされています。
店長、「通常価格」って書いて値下げするのは、よくある売り方ですよね?
そうっす。表示そのものは禁止されていないっす。問題は、その「通常価格」が本当の話かどうかっす!
自分のお店の価格なんだから、自分で決めていいんじゃないですか?
販売価格は自由に決められるっす。でも「普段この値段で売っていた」と読める書き方なら、その実績が要るっす。
質問2 「通常価格」は、どれくらいの期間売っていれば書けますか?
答え: 価格表示ガイドラインでは、セール開始時点からさかのぼる8週間のうち、その価格で売っていた期間が半分を超えていれば、一般的には「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいとされています。
ガイドラインは、比較対照価格が何の価格か具体的に書かれていない場合、消費者はふつう「同じ商品がセール前のしばらくの間その価格で売られていた」と受け取ると考えられる、としています。そのため、最近相当期間にわたって売られていた価格でなければ、いつ、どのくらいの期間売っていた価格かを正確に書かない限り、不当表示に当たるおそれがあります。判断の目安は次のとおりです。
- 見る期間は、セール開始時点からさかのぼる8週間(売り始めて8週間未満なら、その販売期間)
- その価格で売っていた期間が、上の期間の半分を超えていること
- ただし、その価格で売った期間が通算2週間未満なら当たらない
- その価格で売った最後の日から2週間以上たっている場合も当たらない
また、セールを決めた後に売り始めた商品は、セール前価格の期間を正確に書いても、実績づくりとみられ不当表示に当たるおそれがあるとされています。これらは目安で、最終的には個別に判断されます。
質問3 「セール後は○円」や「メーカー希望小売価格」は使えますか?
答え: どちらも使える場面はありますが、条件があります。将来の価格は、その価格で売ることが確かな場合以外は、基本的に行うべきではないとされています。
消費者庁の「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」(2020年12月25日)では、セール後に表示した価格で売るための合理的で確実な販売計画を、セール期間を通じて持っている必要があるとしています。セール後にその価格で売らなかった場合は、地震や水害などの特段の事情がない限り、表示を始めた時点から有利誤認表示として扱うのが原則です。お客さまの要望や売れ行き不振、他社の値下げへの対抗でセールを延ばした場合は、特段の事情とは認められない例として挙げられています。また、セール後すぐにその価格で売り始め、2週間以上続けた場合は、一般的には「ごく短期間」とは考えないとされています。セールの期間や期限は、具体的に示すことが望ましいとされています。
メーカー希望小売価格は、メーカーなどが設定し、あらかじめ公表している価格であることが前提です。ガイドラインは、設定されていない、または撤廃された価格を「希望小売価格」と書くことや、お店が自分で設定した価格(自社ブランド商品の価格など)を希望小売価格として使うことを、不当表示に当たるおそれがある例に挙げています。仕入れ先から受け取った参考価格は、一部のお店にだけ示されたものではないかを確かめましょう。
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質問4 「全品3割引」や「最大50%オフ」は、どう書けばよいですか?
答え: 割引の計算のもとになる価格、対象になる商品の範囲、適用の条件をはっきり書きます。考え方は二重価格表示と基本的に同じです。
価格表示ガイドラインは、割引率や割引額の表示について、もとになる価格や割引の内容が実際と違ったり、あいまいだったりすると、不当表示に当たるおそれがあるとしています。不当表示に当たるおそれのある例として、次のものが挙げられています。
- 一部の商品だけが対象なのに、その旨を書かずに「全品○割引」と強調する
- セール直前に表示価格を引き上げてから、割引率やポイント還元率を表示する
- 最大の割引率が一部の商品だけなのに、最大の数字を大きく目立たせ、多くの商品が対象のように見せる
- 任意に決めた価格をもとに割引率を表示する
ネットのお店では、バナーに大きな数字だけを載せ、対象外の商品や条件を小さく別ページに書くことがあります。ガイドラインは、ほかのお店より安くするといった広告で、限定条件を著しく小さな文字で書くなどして価格の有利さをことさら強調する表示も、不当表示に当たるおそれがあるとしています。条件は、数字と同じ画面で読める位置に置くのが安心です。
店長、「最大50%オフ」って書けば、お客さんはたくさん来そうですけど…。
50%の商品が少ししかないのに、大きく目立たせるのは要注意っす。
じゃあ、商品ごとに割引率を書けばいいんですか?
商品ごとに書く方法もあるっす。一括で書くなら、範囲と条件をそばに書いておくっす!
質問5 違反するとどうなりますか?何を準備しておけばよいですか?
答え: 措置命令や課徴金納付命令の対象になりえます。セール前の販売価格の記録を残しておくことが、確認の出発点になります。
電子政府の法令検索で確認した景品表示法の条文では、第5条に違反する優良誤認表示や有利誤認表示をした事業者には、対象商品の売上額に100分の3を掛けた額の課徴金の納付を命じる、と定められています(表示が不当であると知らず、知らないことについて相当の注意を怠っていなかったと認められる場合や、額が150万円未満の場合は、命じることができないとされています)。また、第48条では、価格などの取引条件について著しく有利であると一般消費者を誤認させるような表示をしたときは、100万円以下の罰金に処するとされています。
小さなお店で準備しやすいのは、次のような記録です。
- 商品ごとの販売価格と、その価格で売っていた期間の記録(価格を変えた日がわかるもの)
- 希望小売価格を使う場合は、メーカーのカタログなど公表を確かめた資料
- 将来の価格を使う場合は、仕入れの数量や時期など、セール後の販売計画がわかる資料
執行方針は、小規模な事業者では資料を文書にして保存するところまで求められない場合もあるとしていますが、価格の変更履歴は残しておくと確認しやすくなります。
店長、うちは小さなお店なので、ここまで細かく見られることはないですよね?
お店の大きさで決まりが変わるわけではないっす。ネットの表示は、だれでも見られるっす。
まずは何から始めればいいですか?
セールに出す商品の、ここ8週間の価格の動きを見直すところからっす!
まとめ
セールの二重価格表示は、比較対照価格が事実に基づき、どんな価格かが伝わる書き方なら、商品選びに役立つ情報になります。過去の価格を「通常価格」として使うなら、セール開始前8週間のうち半分を超える期間その価格で売っていたかを見るのが一般的な目安です。将来の価格は、その価格で売ることが確かな場合に限って考えます。希望小売価格は、メーカーなどが設定して公表しているかを確かめます。「全品」「最大」の表示は、範囲と条件を近くに書きます。年末のセール前に、商品ごとの価格の記録を見直しておきましょう。
この記事は、2026年10月21日時点で確認した消費者庁の資料と景品表示法の条文をもとに、一般的な考え方をまとめたものです。個別の表示が問題になるかどうかは、商品や販売の状況によって判断が分かれます。具体的な表示については、景品表示法に詳しい弁護士や、消費者庁の表示対策課、お住まいの都道府県の景品表示法の担当窓口などに相談し、最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。