当サイトは広告を含みます。
ふくろう探偵だホー。医療費控除と、市販薬で使えるセルフメディケーション税制は、名前が似ていて混ざりやすいホー。違いを一つずつ、公的な資料にそって整理するホー。
この記事では、通常の医療費控除と、セルフメディケーション税制(正式には、特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)を比べます。対象、控除額、書類、時期の違いが分かります。内容は、2026年10月20日時点の国税庁と厚生労働省の資料に基づいています。
医療費控除とセルフメディケーション税制の違いを表で整理
どちらも、確定申告で所得から差し引く所得控除です。令和8年分の所得税について、主な違いを表にまとめました。
| 項目 | 通常の医療費控除 | セルフメディケーション税制 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 所得控除の一つ | 医療費控除の特例(通常の医療費控除との選択適用) |
| 対象になる支出 | 診療や治療の対価、治療や療養に必要な医薬品の購入費、通院費など | 特定一般用医薬品等購入費(スイッチOTC医薬品など、定められた市販薬の購入費) |
| 控除額 | (支払った医療費の合計額−保険金などで補てんされる金額)−10万円。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5パーセント。最高200万円 | (支払った購入費の合計額−保険金などで補てんされる部分)−12,000円。最高88,000円 |
| 申告する人の条件 | 医療費を支払ったこと | 本人が、健康診断や予防接種などの「一定の取組」を行っていること |
| 確定申告で添付する書類 | 医療費控除の明細書 | セルフメディケーション税制の明細書 |
| 医療費集計フォーム | 利用できる | 利用できない |
探偵さん、結局どっちを使えばいいの?
一律の答えはないホー。支出の中身と、自分が取組を行ったかどうかで変わるホー。
取組って、健康診断のこと?
健診や予防接種などだホー。くわしくは次の章で説明するホー。
対象になる支出と、申告する人の条件の違い
通常の医療費控除の対象
本人や、生計を一にする配偶者その他の親族のために、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象です。対象の例は次のとおりです(国税庁)。
- 医師または歯科医師による診療や治療の対価(健康診断の費用は、原則として含まれません)
- 治療や療養に必要な医薬品の購入の対価(風邪薬は対象ですが、ビタミン剤など病気の予防や健康増進のための医薬品は対象外)
セルフメディケーション税制の対象
対象は、医療用医薬品から転用された市販薬(スイッチOTC医薬品)や、同種の効能を持つ一定の市販薬の購入費です。国税庁は、令和4年1月1日から令和8年12月31日までに購入したものとして、外用鎮痛消炎薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、かぜ薬、鼻炎用の薬、抗ヒスタミン薬その他のアレルギー用薬の効能を持つ製剤などを示しています。具体的な品目は、厚生労働省の「対象品目一覧」で確認でき、購入時のレシートにも対象である旨の表示があります。令和8年1月1日以降は、L-アスパラギン酸カルシウムなど4つの成分を含むスイッチOTC医薬品が対象外です。
もう一つの違いが、申告する本人に求められる「一定の取組」です。その年に、保険者や市区町村が行う健康診査、予防接種、勤務先の定期健康診断、特定健康診査・特定保健指導、市区町村のがん検診のいずれかを行っている必要があります。生計を一にする親族が行う必要はなく、取組にかかった費用は控除の対象になりません。
控除額の計算の考え方と、両方は同時に使えない点
通常の医療費控除の計算
「(実際に支払った医療費の合計額−保険金などで補てんされる金額)−10万円」で、最高200万円です。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円の代わりに総所得金額等の5パーセントを引きます。補てんされる金額には、入院給付金、高額療養費、出産育児一時金などがあります。
セルフメディケーション税制の計算
実際に支払った対象医薬品の購入費の合計額(保険金などで補てんされる部分を除く)から12,000円を引いた金額で、最高88,000円です。厚生労働省は、税込みで、割引があれば割引後に実際に支払った額が対象と案内しています。たとえば購入費が年3万円なら、3万円−12,000円で18,000円です(計算例です)。
どちらも所得控除なので、控除額がそのまま戻る金額ではありません。厚生労働省の例では、課税所得400万円の人が年20,000円を購入すると8,000円が所得から引かれ、軽減額は所得税(税率20%)で1,600円、個人住民税(税率10%)で800円です。
両方は同時に使えない(選択適用)
セルフメディケーション税制を選ぶと、通常の医療費控除を併せて受けることはできません。他の医療費が通常の医療費控除の下限額(10万円と総所得金額等の5パーセント相当額のいずれか低い方)を超えていても同じです。一度どちらかを選んで申告すると、更正の請求や修正申告で選択を変更することはできません。厚生労働省の資料では、同じ世帯でも人ごとに選べますが、同じ医療費の重複控除はできないとされています。
探偵さん、先にセルフメディケーションで申告して、あとから医療費控除に変えられる?
変えられないホー。更正の請求や修正申告でも、選択の変更はできないホー。
じゃあ、申告の前にどうすればいいの?
両方の控除額を計算して比べてから、申告書を書くのが基本だホー。
確定申告で必要な書類と保管
提出先は所轄の税務署で、確定申告書に次の書類を添えます。
通常の医療費控除
- 医療費控除の明細書: 医療費の領収書から作成し、確定申告書に添付します。
- 医療費通知: 医療保険者が発行し、氏名、療養を受けた年月、療養を受けた者、病院・薬局等の名称、支払った医療費の額、保険者等の名称の6項目が記載されたものです。添付すると明細書の記載を簡略化でき、領収書の保存も不要になると国税庁は案内しています。マイナポータル連携で取得した医療費通知情報の利用もできます。
- 領収書の保管: 医療費通知を添付しない分は、確定申告期限等から5年間、自宅等で保存します。
セルフメディケーション税制
- セルフメディケーション税制の明細書: 確定申告書に添付します。
- 対象医薬品の領収書(レシート): 添付は不要ですが、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、税務署から提示または提出を求められることがあるため、保管しておきます。
- 一定の取組を行ったことを明らかにする書類: 令和3年分以後は添付も提示も不要ですが、同じく5年間は求められる場合があります。氏名、取組を行った年、実施した保険者・事業者などの名称の記載が必要で、例は予防接種の領収書や済証、がん検診や職場の定期健康診断の結果通知表です。
PR(当サイト関連サービスへのリンク)
令和8年分と令和9年分の時期の注意
令和8年分は、令和8年1月1日から12月31日までに支払った分です。申告は令和9年に行い、期間は原則として翌年の2月16日から3月15日までです。申告の義務がない人の還付申告は、期間に関係なく、翌年の1月1日から5年間提出できます。
令和8年度税制改正で、セルフメディケーション税制が見直されました。厚生労働省の令和8年8月7日付の事務連絡によると、適用期限は、スイッチOTC医薬品が撤廃(恒久化)され、それ以外の医薬品が令和13年12月31日まで5年延長されます。対象範囲の見直しは、令和9年1月1日から適用されます。
- 追加されるもの: 胃腸薬、浣腸薬、瀉下薬などの消化器官用薬、痔疾用薬、生薬を有効成分とする鎮咳去痰薬、一部の検査キット、薬局製造販売医薬品の一部
- 除かれるもの: 痩身や美容を目的として使われる可能性があるとされた医薬品(経過措置あり)
令和9年に行う申告は令和8年分なので、令和8年中に買った薬には見直し前の対象範囲が当てはまり、見直し後の範囲は令和9年1月1日以降に支払った分からです。国税庁のタックスアンサーは令和8年4月1日現在の法令等に基づくため、見直し後の内容は厚生労働省の資料で確認します。令和9年1月1日以降の一定期間は包装の識別マークの切替えがあるため、レシートの表示を確認するよう、厚生労働省は案内しています。
探偵さん、令和9年にする申告で、新しく対象になった薬も使えるの?
申告する年と年分は分けて考えるホー。令和9年に申告するのは令和8年分だホー。
じゃあ、新しい対象は、いつ買った薬から?
令和9年1月1日以降に支払った分からだホー。
まとめ
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、対象、控除額の式、必要な書類が異なります。
- 前者は、医療費の合計から補てん額と10万円(条件により5パーセント)を引き、最高200万円です。
- 後者は、対象医薬品の購入費から12,000円を引き、最高88,000円で、本人の取組が必要です。
- 2つは選択適用で、同時には使えず、申告後の変更もできません。
- 令和9年1月1日から対象範囲が見直され、令和8年分は見直し前の範囲です。
どちらが合うかは、支出や所得によって変わります。申告の前に、最新の案内をご確認ください。
医療費控除やセルフメディケーション税制の適用は、支出の内容、所得、取組の状況などの事実関係によって変わります。この記事は国税庁と厚生労働省の公表資料を一般向けに整理したもので、個別の税務判断を示すものではありません。具体的な取扱いは、所轄の税務署、税理士などの専門家にご確認ください。対象医薬品かどうかは、厚生労働省の対象品目一覧とレシートの表示でも確認できます。最終的な判断は専門家や所管の窓口にご確認ください。
参考にした公的資料
- 国税庁 タックスアンサー No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
- 国税庁 タックスアンサー No.1122「医療費控除の対象となる医療費」
- 国税庁 タックスアンサー No.1119「医療費控除に関する手続について」
- 国税庁 タックスアンサー No.1129「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)」
- 国税庁 タックスアンサー No.1131「セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用」
- 国税庁 タックスアンサー No.1132「セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費」
- 国税庁 タックスアンサー No.1134「取組を行ったことを明らかにする書類の具体例」
- 国税庁 タックスアンサー No.2020「確定申告」
- 国税庁 タックスアンサー No.2030「還付申告」
- 国税庁 令和7年分 確定申告特集「セルフメディケーション税制とは」
- 厚生労働省「セルフメディケーション税制」(対象品目一覧など)
- 厚生労働省 事務連絡(令和8年8月7日)「令和8年度税制改正によるセルフメディケーション税制対象医薬品の届出等について」
- 厚生労働省「セルフメディケーション税制に関する質問と答え」(令和8年8月7日現在)
- 厚生労働省「セルフメディケーション税制について」(制度概要、令和8年8月7日時点)